歯ぎしりとは?
歯ぎしりとは、睡眠中や覚醒中に、無意識のうちに歯をこすり合わせたり、
強く噛み締めたりする行為です。
医学的には「ブラキシズム」と呼ばれます。
歯ぎしりは、大きく分けて以下の3つの種類があります。
①グラインディング: ギリギリと歯をこすり合わせるタイプ
②クレンチング: 歯を強く噛み締めるタイプ
③タッピング: カチカチと歯を打ち鳴らすタイプ
これらのタイプは単独で現れることもあれば、複合的に現れることもあります。
歯ぎしりになりやすい人の特徴
歯ぎしりは、以下のような特徴を持つ人に見られやすい傾向があります。
①ストレスを抱えている
②几帳面、真面目
③睡眠不足
④飲酒、喫煙習慣がある
⑤カフェインをよく摂取する
⑥スポーツや力仕事をしている
⑦頬杖をする癖がある
⑧睡眠時無呼吸症候群である
これらの特徴に複数当てはまる場合は、歯ぎしりのリスクが高まります。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりの原因は、現代医学ではまだはっきりと解明されていません。
しかし、以下の要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
①ストレス、不安: 精神的なストレスや不安は、歯ぎしりの大きな原因となります。
②睡眠障害: 睡眠の質が低下すると、歯ぎしりが起こりやすくなります。
③歯並び、噛み合わせの悪さ: 歯並びや噛み合わせが悪いと、顎関節に負担がかかり、歯ぎしりを引き起こすことがあります。
④特定の薬の副作用: 抗うつ薬や抗精神病薬など、特定の薬の副作用として歯ぎしりが現れることがあります。
⑤遺伝: 歯ぎしりは、遺伝的な要因も関係すると考えられています。
⑥カフェイン、アルコール、喫煙: これらの嗜好品は、睡眠の質を低下させ、歯ぎしりを誘発することがあります。
歯ぎしりの一般的な治療
歯科医院では、歯ぎしりに対して以下のような治療が行われます。
①マウスピース: 睡眠中に装着し、歯や顎関節への負担を軽減します。
②ボトックス注射: 顎の筋肉にボトックスを注射し、筋肉の緊張を緩和します。
③薬物療法: 睡眠導入剤や抗不安薬などを使用します。
④歯列矯正: 歯並びや噛み合わせの悪さが原因の場合に行われます。
⑤バイオフィードバック療法: 筋電図などを利用して、筋肉の緊張を自覚し、リラックスさせる訓練を行います。
日常生活で有効な対策
対策として以下のものがあげられます。
①ストレスを解消する:適度な運動、趣味の時間、リラックスできる音楽鑑賞などが有効です。
②睡眠環境を整える:寝室を暗く静かにし、快適な寝具を選びましょう。
③寝る前にリラックスする:入浴、ストレッチ、アロマテラピーなどがおすすめです。
④アルコール、カフェイン、喫煙を控える:これらの嗜好品は、睡眠の質を低下させます。
⑤就寝前のスマートフォン、パソコンの使用を控える:ブルーライトは睡眠を妨げます。
歯ぎしりの東洋医学的な捉え方
東洋医学では、歯ぎしりは「肝」や「腎」の乱れによって起こると考えられています。
肝: ストレスや感情のコントロールに関わります。肝の気が滞ると、イライラや不安感が増し、歯ぎしりを引き起こしやすくなります。
腎: 睡眠や休息に関わります。腎の気が不足すると、睡眠の質が低下し、歯ぎしりが起こりやすくなります。
また、東洋医学では、歯ぎしりは全身の「気・血・水」のバランスの乱れによって
起こるとも考えられています。
特に、ストレスによって「気」の流れが滞り、
「血」の流れも悪くなることで、筋肉が緊張しやすくなり、
歯ぎしりを引き起こすとされています。
歯ぎしりに対する鍼灸治療
鍼灸治療では、歯ぎしりに対して以下のようなアプローチを行います。
①肝や腎の気の流れを整える:ストレスや睡眠不足を改善します。
②全身の気・血・水のバランスを調整する:筋肉の緊張を緩和し、リラックス効果を高めます。
③顎関節や首肩周りの筋肉の緊張を緩和する:直接的な症状の改善を目指します。
お身体の状態に合わせて主に下記のツボを使います。
・肝: 太衝、期門、行間:ストレスやイライラの緩和
・腎: 太谿、腎兪、照海:睡眠の質の向上、リラックス効果
・顎関節: 頬車、下関、聴会:顎関節の緊張緩和、疼痛緩和
・首肩: 肩井、天柱、風池:首肩のコリの緩和、血行促進
当院での治療
当院では顎や首肩に対し解剖学的な治療、気血水の調整で
東洋医学的な治療に加えて自律神経に働きかける施術も行うため、
回復力の底上げが見込めます。
原因がはっきりとわからない歯ぎしりだからこそ、網羅的な施術が必要です。
筋肉的に顎を直接治療し、東洋医学的に気血水を整え、
自律神経調整で回復力を高めることで歯ぎしりの早期回復が期待できます。
まとめ
歯ぎしりは、放置すると様々な不調につながる可能性があります。
歯科医院での治療と並行して、鍼灸治療を取り入れてみるのもおすすめです。
歯ぎしりでお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。