適応障害とは
「はっきりと確認できるストレス因に反応して、そのストレス因の始まりから3ヶ月以内に情動面または行動面の症状が出現したのも」とされています。
つまり、明確なストレスの原因に対して精神的または身体的な症状を引き起こしている状態です。
適応障害はうつ病と症状が似ている場合が多数あります。ただし、大きく異なる点は「明確なストレスの原因」があることです。この原因を改善あるいは回避することで症状が顕著に軽減する場合が多いです。
原因
さまざまな出来事がきっかけで起こります。
仕事環境、私生活、家庭内環境など、人によっては些細な事でも適応障害が発症する原因となります。そして、ストレスの原因が持続的に存在することで症状が現れます。
症状
適応障害の症状は多岐に渡ります。それは、自律神経の活動が抑制または促進されてしまうためです。より多くみられる症状には、抑うつ気分、不安、素行の異常、自律神経症状が挙げられます。
【抑うつ気分】
1気分の落ち込み
常に憂うつな気分が続き、何をしても楽しめない(興味や関心の低下)
2不安や焦燥感の増加
仕事や学校など特定の場面での強い不安に襲われ、何かに追い詰められるような感覚
3意欲の低下
仕事や勉強へのやる気が出なくなり、身の回りのこと(食事や掃除など)に無関心になる
4疲労感や倦怠感
常に体が重い、疲れやすい、眠っても疲れが取れない状態
5涙もろさや感情の不安定さ
些細なことで涙が出たり、イライラや怒りっぽさが増える
【不安】
1.強い心配や恐怖感
仕事や学校に行くことを考えるだけで不安になる。
まだ起こっていない事象に対する過度な心配をする。(失敗するのではないか、怒られるのではないか)
2緊張や焦燥感の増加
常に落ち着かず、ソワソワする。ちょっとしたことでも驚きやすい。
3身体症状の出現
動悸、息苦しさ、胃痛、下痢、食欲不振、頭痛、肩こり、倦怠感
4睡眠の乱れ
不安でなかなか寝つけない。(入眠困難)
夜中や早朝に目が覚めてしまう。(中途覚醒・早朝覚醒)
5思考のループ(反芻思考)
過去の失敗やミスを繰り返し思い出し、落ち込む。未来の不安を何度も考えてしまい、頭が休まらない。
【素行の障害】
1. 社会的ルールや規範からの逸脱
無断欠勤や遅刻の増加
窃盗や器物損壊などの違法行為
衝動的・攻撃的な言動(暴言、暴力)
2. 対人関係の問題
家庭内や職場でのトラブルの増加
他者との対立が激化(口論や暴力沙汰)
過度な挑発的・敵対的な態度
3. 学業・職場での適応困難
成績や業績の急激な低下
職場での規律違反(サボり、勤務態度の悪化)や同僚や上司との衝突
【自律神経】
1. 神経系の症状
頭痛、偏頭痛、めまい、ふらつき、耳鳴り、しびれや感覚異常(手足の冷え、ピリピリする感じ)
2. 呼吸器系の症状
息苦しさ、過呼吸、胸の圧迫感、のどの違和感(ヒステリー球)
3. 消化器系の症状
胃痛、胃もたれ、吐き気、嘔吐、下痢や便秘の繰り返し(過敏性腸症候群)、食欲不振や異常な食欲(過食症、拒食症)
4. 循環器系の症状
動悸、心臓がドキドキする、血圧の変動(高血圧・低血圧)、手足の冷えやほてり
5. 睡眠障害
寝つきが悪い(入眠困難)、夜中に目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)、寝ても疲れが取れない
適応障害の東洋医学
適応障害の症状が多岐にわたるため、症状の程度や体の状態に合わせて施術していく必要があります。
肝鬱気滞
気がうまく巡らず、滞ってしまっている状態。イライラしやすくなり、気分の浮き沈みが起こります。首肩こりや頭痛を伴うことが多いです。
心腎不交
心と腎は、お互いに影響しあうことで精神活動と全身のバランスを保つ働きがあります。そのため心と腎が正常に働かないと、精神的にも身体的にも症状が出てしまいます。動悸や不眠、抑うつ気分を伴うことが多いです。
心脾両虚
心と脾の両方が虚弱になり気血の生成や循環が不足している状態です。脾が弱ることで血の生成が不足し、心が弱ることで血の循環機能が低下します。精神的な不安や不眠、動悸、息切れなどを伴います。
当院の鍼灸治療
当院では自律神経測定器を導入しています。
自律神経測定器は現時点での心拍数や自律神経の活動量、交感神経と副交感神経のバランスを測ります。そのため身体の状態をより把握した上で施術を行うことが出来ます。
また、当院で使う鍼はとても細いものを使用するため痛みがほとんど感じないことが多いです。
そのため初めて鍼を行う方にも安心して施術を受けていただけます。
適応障害の西洋医学的治療
適応障害は、特定のストレス要因に適応できずに精神的・身体的な不調が現れる疾患です。治療の基本はストレス要因の軽減と心理的サポートですが、必要に応じて薬物療法が行われることもあります。
・認知行動療法(CBT)
否定的な思考パターンを修正し、ストレス対処能力を高める
・薬物療法
抗不安薬
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
など