テニス肘ってなに?
「コップを持つと肘の外側が痛い」
「パソコンのマウスを動かすだけでズキッとする」
「タオルを絞るのがつらい」
そんな症状がある方は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)かもしれません。
名前から「テニスをしている人だけの病気」と思われがちですが、実際にはスポーツをしていない人でも発症します。家事やデスクワーク、介護や育児など、日常生活で手首や腕をよく使う人にも多いのが特徴です。
痛みの原因は?
肘の外側には「上腕骨外側上顆」という出っ張りがあり、そこに手首を伸ばす筋肉(伸筋群)が付着しています。繰り返し手首を使うことでこの腱に小さな炎症や損傷が起こり、痛みにつながります。
とくに以下の動作で痛みが強く出やすいです。
・ タオルを絞る
・ ドアノブを回す
・ 買い物袋を持ち上げる
・ マウス操作やキーボード作業
・ ラケットや包丁を握る
症状が進むと、日常のちょっとした動作でも強い痛みを感じるようになります。
東洋医学の視点でみるテニス肘
東洋医学では、痛みは「気血の滞り」によって起こると考えます。
テニス肘の場合も、局所の炎症や緊張に加え、気血が流れにくくなっている状態が背景にあるとみなされます。
また、慢性的な疲労やストレスによって「肝」の働きが乱れたり、胃腸の弱りから「脾」が関与することもあります。
つまり肘だけでなく、全身のバランスの乱れが痛みを長引かせると考えるのです。
鍼灸でのアプローチ
鍼灸では、痛い場所だけでなく、関連する筋肉や全身の調整を行います。
① 局所の血流改善
肘周囲や前腕に鍼をすることで、硬くなった筋肉を緩め、血流を良くし炎症の回復を促します。
② 遠隔のツボで調整
「曲池」「手三里」「合谷」など、腕全体の気血を整えるツボを使い、肘の負担を軽減します。
③ 自律神経や内臓の調整
慢性化している場合には、腰や足のツボを使って全身の巡りを整え、再発しにくい体作りを行います。
④ お灸や温熱
冷えや血行不良が背景にある場合、お灸で温めると回復力が高まります。
治療の流れと期間
症状の程度にもよりますが、軽度なら数回で改善を実感できることもあります。
慢性化している場合は、週1回の施術を1〜2か月ほど続けるケースが多いです。
痛みが軽くなっても、再発予防のために生活動作の改善やセルフケアを取り入れることが大切です。
自宅でできるケア
鍼灸と合わせて、自宅でも次のようなケアを心がけると良いでしょう。
・ 手首や前腕のストレッチ
・ 肘を使いすぎた日は温めて血流を促す
・ 重い荷物は片腕だけで持たない
・ マウスやキーボードの高さを調整して負担を減らす
無理にマッサージをしすぎると炎症を悪化させることもあるので注意しましょう。
まとめ
テニス肘は「よくある肘の痛み」ですが、放っておくと慢性化して日常生活に支障が出ます。
鍼灸は、痛みを和らげるだけでなく、血流や自律神経を整え、再発しにくい体づくりをサポートできるのが特徴です。
「病院で湿布と安静と言われただけ」「なかなか治らない」と感じている方は、一度鍼灸のアプローチを試してみてはいかがでしょうか。
肘の痛みがやわらぎ、また快適に日常生活を送れるようになるかもしれません。