胸や脇腹に走る鋭い痛みの正体とは?
「胸のあたりがチクチクする」
「脇腹に電気が走るような痛み」
「咳や深呼吸でズキッと痛む」
こんな症状を感じたことはありませんか?
もしかすると、それは 肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)かもしれません。
肋間神経痛とは?
肋間神経は、背骨(胸椎)から左右に分かれ、肋骨に沿って胸や脇腹、前胸部へ走る神経です。この神経が何らかの理由で圧迫や炎症を受けると、胸から脇腹にかけてピリピリ・ズキズキとした痛みが出ます。
特徴的な症状は以下のようなものです:
・ 片側だけに痛みが出ることが多い
・ 肋骨に沿って帯状に痛む
・ 咳やくしゃみ、体をひねる動作で悪化
・ 安静にしていても痛むことがある
心臓や肺の病気と間違えやすいのも特徴で、強い胸の痛みがあると「心臓の病気では?」と不安になる方もいます。
なぜ起こるの?
肋間神経痛には、明確な原因があるものと、原因が特定できないものがあります。
原因がはっきりしているケース
・ 帯状疱疹による神経炎
・ 肋骨の骨折や外傷
・ 椎間板ヘルニアや変形性脊椎症
・ 胸部の腫瘍や炎症
原因不明の場合
・ 長時間のデスクワークや猫背による姿勢不良
・ 精神的ストレスや疲労
・ 睡眠不足による自律神経の乱れ
・ 筋肉の緊張による神経圧迫
特に近年は、PC・スマホによる姿勢の悪化や慢性的なストレスが背景となるケースが増えています。
東洋医学でみる肋間神経痛
東洋医学では、痛みの多くを「気血の滞り」としてとらえます。
肋間神経痛の場合、ストレスや疲労が重なることで「肝」の働きが乱れ、気の巡りが悪くなることが大きな要因と考えられます。
・ 気滞(きたい):ストレスで気の流れが滞り、胸や脇腹が張って痛む
・ 血瘀(けつお):血流が滞って、刺すような痛みが続く
・ 寒邪(かんじゃ):冷えによって筋肉がこわばり、神経を刺激する
このように、体の巡りの乱れを正すことが治療のポイントになります。
鍼灸でできること
鍼灸治療では、痛みのある部分だけでなく、全身のバランスを整えることを大切にします。
① 局所の緊張を緩める
肋骨や背中、肩甲骨まわりの筋肉に鍼をして、硬さをやわらげます。筋肉の圧迫が減ると神経の刺激も軽くなり、痛みが和らぎます。
② 自律神経を調整
手足のツボを使って交感神経の緊張を落ち着かせます。ストレスや不安感の軽減にもつながります。
③ 気血の巡りを改善
「太衝(たいしょう)」「期門(きもん)」「膈兪(かくゆ)」などのツボで、滞った気血を流し、痛みの根本改善を目指します。
④ お灸で温める
冷えが背景にある場合はお灸を用いて温め、血流改善とリラックス効果を促します。
治療の期間と効果
肋間神経痛は軽度であれば数回の施術で改善を実感できることもあります。
ただし、慢性化していたりストレス要因が強い場合は、数週間〜数か月の継続治療が必要になるケースもあります。
鍼灸の特徴は「薬で一時的に抑える」のではなく、再発しにくい体質改善につなげられる点です。
自宅でできるセルフケア
・ 深呼吸やストレッチで胸郭を広げる
・ 湯船に浸かり背中や胸を温める
・ 長時間の同じ姿勢を避ける
・ 睡眠のリズムを整える
こうしたセルフケアと鍼灸治療を組み合わせることで、回復を早めることができます。
まとめ
肋間神経痛は、外からは見えないけれど、強い痛みで日常生活に大きな支障を与える症状です。
西洋医学で原因が特定できない場合でも、東洋医学では「気血の滞り」「肝の不調」として捉え、改善を目指すことができます。
痛み止めだけに頼らず、鍼灸で体の巡りを整え、再発しにくい身体作りをすることも選択肢のひとつです。
もし胸や脇腹の痛みに悩んでいるなら、一度鍼灸院に相談してみてください。