1. 夏は「心(しん)」の季節
東洋医学では、夏は「心(しん)」が主役の季節とされます。
心は血液を全身に巡らせる働きとともに、精神の安定にも深く関わります。夏の強い日差しや高温多湿は、この心に大きな負担をかけます。
・心が疲れると、次のような不調が出やすくなります。
・動悸や息切れ
・寝つきが悪い、眠りが浅い
・集中力の低下
・だるさ、食欲不振
・ほてりやのぼせ
これは、夏の暑さで体内の水分が奪われ、血液循環が滞り、心の働きが弱まってしまうことが原因の一つです。
2. 夏バテの正体
現代人の夏バテは、暑さだけでなく「冷房による冷え」や「冷たい飲食物の摂りすぎ」も影響します。
冷たいものばかり摂ると胃腸が冷えて働きが鈍り、栄養や水分をうまく吸収できなくなります。その結果、エネルギー不足で心の負担がさらに増し、だるさや精神的な疲れが強くなります。
また、室内と屋外の温度差が大きいと、自律神経が乱れやすくなり、体温調節もうまくいかなくなります。
3. 鍼灸で心を養う
鍼灸では、心の負担を和らげ、血液循環と自律神経のバランスを整える施術を行います。
・内関(ないかん):手首内側。動悸、不安感、胃の不快感を緩和
・神門(しんもん):手首小指側。精神安定、不眠、心の緊張をほぐす
・足三里(あしさんり):胃腸の働きを高め、全身のエネルギーを補う
・百会(ひゃくえ):自律神経を整え、頭の熱を下げる
さらに、軽く背中(肩甲骨の間)やお腹を温めることで、血流が改善され、心への負担が軽くなります。
4. 夏の養生ポイント
鍼灸に加えて、日常生活でできる夏バテ防止法を意識しましょう。
・冷房は28℃前後、首・足首を冷やさない
・冷たい飲食は控えめに、常温や温かいものも取り入れる
・朝食をしっかり摂る:エネルギー切れを防ぎ、体温調節を助ける
・水分補給はこまめに:麦茶や経口補水液など、ミネラルも一緒に補う
・軽い運動で汗をかく習慣を:散歩やヨガなどで体の巡りを維持
・心を和ませる時間を持つ:趣味や友人との会話も心の栄養
5. まとめ
夏は心がもっとも疲れやすく、体力・精神力の両方に影響が出ます。
鍼灸は血液循環と自律神経を整え、心の負担を軽くし、不眠や動悸、だるさを和らげます。
生活習慣では、冷やしすぎや温度差に注意し、水分・栄養・適度な運動で巡りの良い体を保ちましょう。
心が安定していると、暑い日でも笑顔で過ごせます。今年の夏は、心を労わるケアで、暑さに負けない軽やかな日々を送りましょう。