ED(勃起障害)に対する鍼灸治療
ED(勃起不全)は多くの男性が悩むデリケートな症状です。今回はEDの原因やなりやすい人の特徴、治療法、鍼灸によるアプローチまで分かりやすく解説しています。
ED(インポテンツ)とは?
ED(Erectile Dysfunction:勃起不全、インポテンツ)とは、「性行為を行うのに十分な勃起が得られない、もしくは勃起を維持できない状態」を指します。
年齢に関わらず発症し、症状の程度も人それぞれですが、実際には40代以上の男性では4人に1人が経験すると言われるほど、決して珍しい症状ではありません。
しかし、EDというと「自分だけの悩み」「恥ずかしくて相談できない」と感じる方も多く、なかなか周囲に相談できずに一人で悩まれているケースも少なくありません。
EDは心身の状態と深く関係する症状であり、放置することで自信喪失やパートナーとの関係性の悪化など、さまざまな影響が生じることもあります。そのため、決して一人で悩まず、適切な対策を取ることが大切です。
EDの原因
EDの原因は、大きく「身体的要因」と「心理的要因」に分けられます。
身体的要因(器質性ED)
高血圧、糖尿病、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病は、血管の柔軟性を低下させ、陰茎への血流障害を引き起こします。また、前立腺疾患、脊髄損傷、泌尿器や神経の病気、ホルモン異常(テストステロン低下)などもEDのリスクを高めます。
さらに、過度な飲酒や喫煙、肥満などの生活習慣も影響します。薬(降圧剤・抗うつ薬・睡眠薬など)の副作用としてEDが出る場合もあります。
心理的要因(心因性ED)
ストレス、緊張、不安、うつ症状、パートナーとの関係性の問題などが挙げられます。「うまくできなかったらどうしよう」というプレッシャーや、仕事・家庭の悩みなど、心理的な負担がEDを引き起こすことも珍しくありません。特に若年層では、身体的な問題よりも心理的な要因が主な原因となるケースが多いです。また近年では妊活による重圧が原因とみられる相談も増えています。
混合性ED
加齢や生活習慣の乱れによる血管障害と、ストレスや不安などの心因的要素が複合的に絡み合うケースも多く、「どちらか一方だけが原因」とは言い切れない場合もあります。
EDになりやすい人の特徴
EDになりやすい方にはいくつかの特徴や共通点が見られます。
・年齢が高くなるほど発症率が上がる
・生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症)を持っている
・喫煙・過度な飲酒習慣がある
・運動不足や肥満傾向がある
・強いストレス環境で生活している、または精神的に不安定な時期がある
・パートナーとの関係に悩みがある、性生活の満足度が低い
・睡眠不足や生活リズムの乱れがある
特に、血流や神経伝達に悪影響を及ぼす生活習慣や病気はED発症のリスクを高めます。また、「最初の失敗体験」をきっかけに、その後も不安が続いて心因性EDへ発展してしまうケースも少なくありません。
EDの治療(西洋医学)
現代医療ではEDの原因や重症度に応じて、以下のような治療法が選択されます。
1 内服薬(PDE5阻害薬)
最も一般的なのは、バイアグラ・レビトラ・シアリスなどのPDE5阻害薬です。これらの薬は陰茎の血流を改善し、勃起をサポートします。服用による即効性があり、多くの方に効果が期待できますが、心疾患など特定の持病がある方や、併用禁忌薬がある場合には使用できません。
2 カウンセリング・心理療法
心因性EDが疑われる場合や、薬だけでは十分な効果が得られない場合には、心理カウンセリングやパートナーとのコミュニケーション支援なども重要です。
3 その他
基礎疾患(糖尿病や高血圧など)がある場合は、それらの治療・コントロールが優先されます。
4 注射療法
陰茎への自己注射や、外用薬による治療が行われることもあります。日本では認可が受けておらず、一般的ではありませんが、内服薬が使えない場合の選択肢として用いられます。
EDの東洋医学的な所見
東洋医学では、EDは「腎虚(じんきょ)」や「気血の不足」「気滞・血瘀」など、全身のバランスの乱れから生じる症状と考えられています。
腎虚(じんきょ)
「腎」は生殖機能や成長・老化を司るとされており、腎のエネルギー(腎精)が不足すると、性機能の低下が起こりやすくなると考えます。
気血の不足
エネルギー(気)や血液(血)の流れが不足・停滞している場合、身体全体の活力が低下し、結果としてED症状が現れるとされています。
肝鬱気滞・心脾両虚など
精神的なストレスや思い悩みが強い場合、「肝」の働きが低下して気の流れが悪くなり、EDの一因となります。また、「心」と「脾」の働きの低下による気力・血流の不足も関連すると考えられています。
このように、東洋医学では「性機能の問題=全身のバランスの乱れ」ととらえ、体質や生活背景、心身の状態を総合的に診てアプローチします。
高田馬場はりきゅうのED鍼灸施術
当院では、EDに対して東洋医学的な視点と現代医学的な知見を組み合わせ、心身両面からアプローチする鍼灸施術を行っています。
1. 自律神経のバランス調整
EDの多くは自律神経の乱れと関係しています。
ストレスや疲労によって交感神経が過度に優位になると、血管が収縮し、十分な勃起が得られにくくなります。
当院では、お腹や手足のツボを刺激して、副交感神経の働きを高めてリラックス状態を促し、血流改善を目指します。
2. ツボ刺激による体質改善
EDに対しては、「腎兪(じんゆ)」「関元(かんげん)」「三陰交(さんいんこう)」など、腎や生殖機能と関連するツボを中心に施術を行います。
これにより、低下している身体の活力や血流の循環を高め、体質そのものの改善を目指します。
3. 陰部神経への鍼灸刺激
近年注目されているのが、臀部や仙骨部への鍼刺激による「陰部神経」へのアプローチです。陰部神経は、陰茎の勃起や性感に関わる重要な神経であり、ここへの適切な刺激が自律神経のバランス調整や、性機能の改善につながることが報告されています。
4. 全身の調整・生活アドバイス
鍼灸施術だけでなく、生活習慣の見直しや、必要に応じて食事・運動・睡眠のアドバイスも行っています。EDの根本改善には、身体全体の健康管理が欠かせません。
最後に
EDはデリケートな悩みであるため、一人で抱え込んでしまう方も多いですが、適切なケアによって改善が期待できる症状です。
当院では、プライバシーに配慮しながら丁寧なカウンセリングと個別の施術プランをご提案しています。
お困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。