膝痛の主な原因
膝痛の背景には多くの要因が考えられます。代表的なものは次のとおりです。
1.変形性膝関節症
加齢や長年の使用により膝関節の軟骨がすり減り、炎症や変形をきたす病気です。特に女性や肥満傾向の方に多く見られます。
2.半月板や靭帯の損傷
スポーツや事故によるケガが原因で、急な膝の痛みや腫れを伴います。
3.筋力低下
大腿四頭筋など膝を支える筋肉が弱くなると、関節への負担が増えて痛みにつながります。
運動不足や加齢による影響が大きいです。
4.炎症やリウマチ
関節リウマチや痛風など、免疫や代謝の異常が膝に炎症を起こす場合もあります。
5.生活習慣や姿勢
長時間の立ち仕事や正座、合わない靴なども膝への負担となります。
膝痛の現代医学的な対応
整形外科での診断では、X線やMRIで関節や靭帯の状態を確認します。治療法としては、
・消炎鎮痛剤の内服や外用
・関節注射(ヒアルロン酸など)
・運動療法やリハビリ
・手術(重度の変形性膝関節症など)
といった選択肢があります。
ただし薬の効果が一時的であったり、手術をためらう方も多いため、「保存療法」として生活改善や代替医療に注目する方も増えています。
東洋医学からみる膝痛
東洋医学では、膝痛は「腎虚(じんきょ)」「寒湿(かんしつ)」「気血の滞り」といった要因が関わると考えます。
腎虚:腎は骨や関節の健康を司るとされ、加齢による膝痛は腎の弱りと関連づけられます。
寒湿:冷えや湿気によって関節に重だるさや痛みが生じる状態です。雨の日に膝が痛むのはこのタイプです。
気血の滞り:ケガや過労で気血の巡りが悪くなると、膝に痛みやこわばりが現れます。
つまり膝の痛みは「使いすぎ」「加齢」だけでなく、体質や生活環境によっても悪化するのです。
鍼灸による膝痛へのアプローチ
鍼灸治療では、痛みのある膝そのものに加え、全身のバランスを整えることで改善を目指します。
1.局所治療
膝周囲の経穴(ツボ)に鍼やお灸を行い、血流を促進し炎症を和らげます。
代表的なツボには「足三里(あしさんり)」「犢鼻(とくび)」「陰陵泉(いんりょうせん)」などがあります。
2.全身調整
腎や肝の機能を整えるツボを使い、体の根本から関節の強さを養います。
特に慢性的な膝痛では、この全身調整が重要です。
3.自律神経・血流改善
鍼灸は交感神経と副交感神経のバランスを整えるため、筋肉の緊張をほぐし、血液循環を改善する効果が期待されます。
日常生活でできる膝のケア
鍼灸と並行して、生活習慣を整えることも膝の健康には欠かせません。
適度な運動:ウォーキングや軽い筋トレで大腿四頭筋を鍛える。
体重管理:体重を減らすだけで膝への負担は大きく軽減します。
温める:冷えによる痛みは膝の保温で和らぎます。入浴や温灸もおすすめです。
正しい姿勢と靴選び:O脚やX脚を助長するような靴は避け、膝に優しい歩き方を心がけましょう。
まとめ
膝痛は年齢や生活習慣に大きく左右される症状ですが、放置すると悪化しやすく、日常生活の質を大きく損ないます。現代医学の診断と治療に加え、鍼灸をはじめとする東洋医学のアプローチを取り入れることで、膝の痛みを和らげ、再発しにくい体作りが期待できます。
「歩ける」という当たり前のことが、実は大きな幸せにつながります。
もし膝に違和感を覚えたら、早めにケアを始めてみてはいかがでしょうか。