偏頭痛とは?
ズキズキと片側に痛みを感じ、光や音に敏感になったり、吐き気を伴うこともある偏頭痛。
日本では人口の約8%が悩まされているといわれ、特に20〜40代の女性に多く見られます。
現代医学的には脳の血管の拡張や神経の過敏さが関わるとされ、
ストレス・ホルモン変動・睡眠不足などが誘因になります。
症状とは?
1 痛みが拍動性である (ズキン、ズキンと脈打つように痛む)
2.持続時間が4~72時間と比較的短い
3.頭痛が始まると、寝込んだりして生活に支障をきたす
4.吐き気がしたり、吐いたりする
5.頭痛発作が起きると、光や音が耐えられなくなり、暗いところへこもってしまう
原因とは?
「片頭痛」の原因やメカニズムについては諸説ありますが、
現在最も有力視されているのは三叉神経が刺激されて起こるという説です。
何らかの原因で三叉神経が刺激を受けると、その刺激でセロトニンなどの神経伝達物質が
血液中に一気に放出されます。
これにより脳血管は収縮するのですが、そのあと、セロトニンは代謝して減少し、
逆に脳血管が拡張し、周囲に炎症が起こります。
同時に、拡張した血管が周りに張り巡らされた三叉神経を圧迫するため、
動脈が脈打つたびに拍動性の痛みが起きます。
ムカムカしたり嘔吐したりするのは、その刺激を受けて脳が興奮状態に陥るためと考えられています。
具体的には、次の5つの原因で起こることが多いです。
1.薬による頭痛(薬物乱用性頭痛)
頭痛薬の飲みすぎによる頭痛はあまり知られていませんが、
頭痛薬を常用している人の30%程度は薬をやめることで改善するとも言われています。
2.たばこ
偏頭痛持ちの人のたばこは脳卒中のリスクが3倍になるので要注意です。
3.肩こり
肩や首周りの筋肉の緊張が高まり、血流障害や神経痛を起こすことが原因と考えられています。
緊張型頭痛では肩こりなどの筋肉の緊張が原因の場合も多いです。
4.ストレス
精神的ストレスだけでなく肉体的ストレス(寝不足など)や気圧や気温の変化でも起こるので、
ゆっくりお風呂につかるなどリラックスできる環境を整えてみましょう。
5.食事・飲み物
血管を拡張・収縮させるポリフェノールやチラミン、亜硝酸化合物は、
オリーブオイル、ワイン・チーズ・ハム・チョコレート・ナッツ・ソーセージ・柑橘類
に多く含まれます。
エナジードリンク・コーヒーなどに含まれるカフェインは
少量ならいいですが毎日多量に飲むとカフェイン中毒となり頭痛を誘発するので、
これらの飲食で頭痛が誘発されるようなら注意しましょう。
東洋医学からみた偏頭痛
東洋医学では偏頭痛を「気血の乱れ」や「肝の不調」と関連づけて考えます。
〇気の滞り:ストレスで気が上にのぼりやすくなる
〇血の不足や巡りの悪さ:頭部に十分な栄養が届かない
〇肝の働きの乱れ:自律神経の調整役がうまく働かない
これらが頭痛発作を引き起こす要因になると考えられています。
鍼灸でのアプローチ方法
鍼灸では、頭痛の直接的な痛みをやわらげるだけでなく、
体質や全体のバランスを整えることを重視します。
〇ツボ刺激で血流改善:こめかみや後頭部のツボを用いて、血行を促進
〇自律神経を整える:頭部や手足のツボに鍼をすることで、交感神経の過緊張を抑えリラックスへ
〇体質改善:胃腸の働きや冷えを調整し、偏頭痛を起こしにくい体づくり
急な発作時だけでなく、定期的に施術することで
「発作の回数や強さが減った」と感じる方も多いのが特徴です。
偏頭痛に効果的なツボ
頭部のツボ
〇太陽(たいよう)
こめかみ、目尻と眉尻の中間あたりにあるツボ。ズキズキ痛む偏頭痛の定番。
〇百会(ひゃくえ)
頭頂部の真ん中。気の巡りを整え、自律神経を落ち着ける。
〇風池(ふうち)
後頭部、首の付け根。頭の血流改善や眼精疲労を伴う偏頭痛に。
手や足のツボ
〇合谷(ごうこく)
手の甲、親指と人差し指の間。痛み全般に効く万能ツボ。ストレス性の頭痛にも。
〇太衝(たいしょう)
足の甲、親指と人差し指の骨の間。肝の働きを整え、イライラやストレス性の偏頭痛に。
〇足三里(あしさんり)
膝の下、すねの外側。胃腸を整え、全身のバランスをとることで頭痛の予防に。
鍼灸では「今ある痛みを和らげるツボ」と「体質改善を目的とするツボ」
を組み合わせて使うことが多いです。
まとめ
鍼灸は薬のように副作用が少ない自然療法ですが、生活リズムの見直しも大切です。
睡眠を整え、スマホやパソコンの光を控える、ストレスを溜めすぎないなどの
工夫と合わせることで、より効果を実感しやすくなります。
偏頭痛は「薬で一時的に抑えるしかない」と思われがちですが、
東洋医学では体質改善や自律神経の調整を通じて根本からのサポートを目指します。
つらい頭痛に悩まされている方は、是非一度、鍼灸をお試しください。
高田馬場はりきゅう院