1. むくみとは?
朝起きたときに顔がパンパン、夕方になると足が靴に入りにくい…。
そんな経験はありませんか?
これがいわゆる「むくみ」です。
医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、血液やリンパの流れが滞ることで、余分な水分や老廃物が皮ふの下にたまってしまった状態です。
一時的なものであれば数時間で自然に回復することも多いですが、慢性的に続くと全身の「ダル重さ」につながり、生活の質を下げてしまいます。
2. むくみが起こる原因
むくみの背景にはさまざまな要因があります。代表的なものを挙げてみましょう。
長時間の立ち仕事・座り仕事
重力の影響で、足に水分がたまりやすくなります。
冷え
血管が収縮し、血流やリンパの流れが滞ります。
塩分の摂りすぎ
体はナトリウム濃度を下げようとして、水分を余計に抱え込みます。
運動不足
ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」といわれ、血液を押し戻すポンプ役です。
動かさないと循環が弱まります。
ホルモンバランスの乱れ
特に女性は生理周期や更年期で体内の水分調整が不安定になりやすいです。
内臓の働きの低下
腎臓や心臓に関わる機能が弱まると、水分代謝に影響を与えます。
3. むくみが与える全身への影響
単なる「足の腫れ」だけで終わらないのがむくみの厄介なところです。
だるさ・重さ
余分な水分を抱えると体が鉛のように重く感じます。
疲れやすい
血液や酸素のめぐりが悪くなり、少し動くだけで疲労感が増します。
頭の重だるさ・集中力低下
むくみは下半身だけでなく、頭や顔にも影響することがあります。
気分の落ち込み
体が重いと活動意欲が下がり、ストレスやイライラも増えてしまいます。
こうして「むくみ」は全身の不調につながり、慢性的なダル重さを引き起こすのです。
4. 東洋医学からみた「むくみ」
東洋医学では「気・血・水(き・けつ・すい)」という体のエネルギーや循環の考え方があります。このうち「水」の巡りが悪くなると、余分な水分が体にとどまり「水滞(すいたい)」と呼ばれる状態になります。
水滞が長引くと、
・体が重い
・頭がぼんやり
・関節のこわばり
・天気による体調の変化
などが起きやすいと考えられています。
つまり、東洋医学的にも「むくみ」は全身のダル重さの根っこにある重要なサインなのです。
5. 鍼灸によるアプローチ
鍼灸では、むくみによるダル重さに対して以下のような働きかけを行います。
血流やリンパの流れを改善
ツボに鍼やお灸をすることで、筋肉がゆるみ血液のめぐりが良くなります。
ポンプ機能が高まり、水分が循環しやすくなります。
自律神経を整える
交感神経の緊張をやわらげ、副交感神経が優位になることで、血管の収縮・拡張がスムーズに。体液の流れも改善されます。
内臓機能をサポート
腎臓や胃腸の働きに関わるツボを刺激することで、水分代謝を助けます。特に「脾(ひ)」や「腎(じん)」の機能を整えることがポイントとされます。
冷えを改善
お灸で体を温めることで血行を促し、むくみを軽減します。
6. 日常でできるセルフケア
鍼灸治療とあわせて、普段の生活でも工夫が大切です。
・軽い運動やストレッチで血流を促す
・塩分を控え、カリウムを含む食材(バナナ・きゅうり・ほうれん草)を摂る
・シャワーだけでなく湯船につかる
・ふくらはぎをマッサージする
・睡眠をしっかりとる
こうした生活習慣の積み重ねが、むくみの予防につながります。
7. まとめ
むくみによる全身のダル重さは、多くの人が抱える現代的な不調です。長時間の同じ姿勢や冷え、ホルモンバランス、内臓の疲れなど、さまざまな要因がからみ合って起こります。
鍼灸は「水の巡り」を整え、血流や自律神経、内臓機能に働きかけることで、むくみとダルさの改善をサポートします。
「最近体が重い」「いつもむくんでいる」という方は、放っておかずに一度鍼灸を試してみてはいかがでしょうか。体のめぐりが良くなると、心まで軽くなることを実感できるかもしれません。