1. その「感覚」はどこからくるのか?
「気づいたら目が重くて閉じてしまう」「後ろに引っ張られるようにふらつく」
――こんな症状を感じたことはありませんか?
これはめまいや眼精疲労、自律神経の乱れなど、いくつかの要因が重なって起こることが多い症状です。医学的には、平衡感覚をつかさどる耳の内耳や、脳への血流、目の筋肉や神経の働きが関与するとされています。
東洋医学では、「気血の巡り」や「肝・腎・脾」の働きのバランスが乱れると、目や頭に不快感が現れると考えます。つまり、体の不調が「目が閉じる」「引っ張られる」といった感覚として表れているのです。
2. よくある原因
(1) 眼精疲労
長時間のスマホやパソコンで、目の筋肉がこわばると、瞼が重くなり自然に閉じやすくなります。
さらに後頭部の緊張で「後ろに引っ張られる」ような感覚が出ることも。
(2) 血流不足
首や肩のこりによって血流が悪くなると、脳や目への酸素・栄養が不足し、ふらつきや目の重だるさが出やすくなります。
(3) 自律神経の乱れ
ストレスや睡眠不足により交感神経が優位になると、めまい・ふらつき・目の不快感を感じやすくなります。
(4) 内耳や平衡感覚の不調
内耳は体のバランスをとる器官。
ここに異常があると、後ろに引っ張られるような違和感が出ることがあります。
3. 東洋医学の見方
東洋医学では「目は肝の窓」と言われ、肝の働き(血流や自律神経に相当)が乱れると目に症状が出やすいとされます。
肝気の滞り
ストレスで気が流れず、ふらつきや緊張感に。
血虚(けっきょ)
血が不足して目に栄養が届かず、瞼が重い。
腎虚(じんきょ)
加齢や疲労で腎の力が弱まると、平衡感覚や耳・目の不調に。
痰湿(たんしつ)
余分な水分が体にたまり、重だるさやめまいを引き起こす。
このように、目や頭の症状でも全身のバランスを整えることが大切だと考えます。
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4. 鍼灸によるアプローチ
鍼灸では、症状を和らげながら体質そのものを整えることを目的とします。
首肩の緊張をゆるめる
後頭部や首のツボに鍼をすることで、血流を改善し、目や脳への循環をサポート。
目に関連するツボを刺激
「攅竹(さんちく)」「太陽(たいよう)」「合谷(ごうこく)」などは目の疲れや重さを和らげます。
自律神経を整える
手足のツボや腹部への施術で副交感神経を優位にし、めまい・ふらつきを鎮めます。
全身調整
「肝腎」の働きを補うツボを使い、体質的な弱さや慢性的な疲労をケアします。
5. 日常生活でできるセルフケア
・スマホ・PC作業の合間に目を休める
・首や後頭部を温めて血流を促す
・十分な睡眠とバランスのとれた食事
・ストレスを溜めすぎず、深呼吸や軽い運動でリラックス
6. まとめ
「目が閉じる」「後ろに引っ張られる感覚」は、単なる疲れではなく、血流・自律神経・体全体の巡りの乱れが関係していることが少なくありません。
鍼灸は、局所の筋肉をゆるめるだけでなく、自律神経やホルモン、全身のバランスを整えることで、症状の根本改善を目指します。
慢性的な目の重さやふらつきでお悩みの方は、鍼灸で体のめぐりを整え、本来の軽さを取り戻すお手伝いができるかもしれません。

