突然起こる「ぎっくり腰」
朝、顔を洗おうと前かがみになったとき、重い荷物を持ち上げたとき、ちょっと腰をひねったとき…突然「グキッ」と腰に激痛が走り、動けなくなる。これが俗にいう「ぎっくり腰」です。
医学的には「急性腰痛症」と呼ばれ、誰にでも起こり得る身近なトラブルです。
多くの場合は数日から数週間で自然に回復しますが、その間は日常生活に大きな支障をきたします。
痛みで立ち上がれず、仕事や家事ができない不安はとても大きいものです。
ぎっくり腰の原因
ぎっくり腰の原因は一つではありません。
・腰や背中の筋肉が疲労で固くなっている
・急な動作で筋肉や靭帯に負担がかかった
・デスクワークや長時間の運転で血流が悪化している
・睡眠不足やストレスで体の回復力が落ちている
こうした条件が重なり、ちょっとした動きが引き金になって「激痛」として表れるのです。
東洋医学から見たぎっくり腰
東洋医学では、ぎっくり腰は「気血の流れの滞り」「冷え」「体の弱り」などが原因と考えられます。
特に腰は「腎」の働きと関わりが深く、腎が弱ると腰の支えが不安定になるとされています。
また、冷えや湿気が体に入り込むことで、筋肉や関節の動きが悪くなり、痛みが強まることもあります。
つまり東洋医学的には、単なる筋肉や関節のトラブルにとどまらず、体質や生活習慣の影響も含めて「全身のバランスの乱れ」がぎっくり腰を引き起こす要因と考えられるのです。
鍼灸でできること
鍼灸は、ぎっくり腰の痛みをやわらげ、回復を早めるサポートとして有効です。
1.痛みの軽減
痛みのある腰だけでなく、関連するツボに鍼やお灸を行うことで、筋肉の緊張を和らげ、血流を改善します。すると痛みが少しずつ緩み、動きやすさが戻ってきます。
2.血流・代謝の改善
鍼灸による刺激は血流を促進し、損傷した組織の修復を助けます。
自然治癒力が高まり、回復がスムーズに進みます。
3.再発予防
痛みが落ち着いたあとは、腰回りだけでなく全身のバランスを整えることで「ぎっくり腰を繰り返さない体づくり」を目指します。
体質改善や疲労回復、自律神経の安定にもつながります。
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よく使われるツボ
・腰痛点(ようつうてん):手の甲にあるツボ。腰の急な痛みに効果が期待できます。
・委中(いちゅう):膝裏の真ん中。腰の血流改善に役立ちます。
・腎兪(じんゆ):腰の少し外側。腎を強め、腰の支えを助けます。
・大腸兪(だいちょうゆ):腰の中央付近。筋肉のこわばりを緩めます。
これらのツボは症状や体質によって選ばれ、鍼やお灸で刺激されます。
日常生活での工夫
鍼灸治療とあわせて、生活習慣を見直すことも大切です。
・無理に動かさず、安静にする(ただし寝すぎも良くない)
・温めて血流を良くする(急性期の炎症が強いときは冷やす場合も)
・デスクワーク中はこまめに立ち上がり、腰を動かす
・睡眠・食事で体の回復力を整える
これらは再発防止にもつながります。
鍼灸のメリット
ぎっくり腰の治療として、湿布や鎮痛薬、整形外科でのリハビリなどがあります。
その中で鍼灸の特徴は「副作用が少なく、体本来の回復力を高める」ことです。
薬を飲めない方や自然なケアを求める方にも取り入れやすい方法です。
まとめ
ぎっくり腰は誰にでも起こる身近なトラブルですが、激痛で生活に大きな影響を与えます。
鍼灸は痛みをやわらげ、血流を改善し、自然治癒力を高めることで回復をサポートします。
また、再発しにくい体づくりにもつながる点が大きな魅力です。
もしぎっくり腰になってしまったら、まずは安静にして無理をしないこと。
そして症状が落ち着いてきたら、鍼灸で体を整え、再び元気に動ける生活を取り戻してみてはいかがでしょうか。
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