突発性難聴とは
突発性難聴は、数時間から数日のうちに急激に聴力が低下する病気で、多くは片側に起こります。
原因ははっきりと解明されていませんが、内耳の血流障害やウイルス感染、
ストレスによる自律神経の乱れなどが関係していると考えられています。
主な症状
主な症状は、
・片耳の聞こえづらさ
・耳鳴り
・耳の詰まり感
・めまい
など。
発症から治療開始までの時間が短いほど回復率が高いとされ、
発症から1週間以内の対応が重要です。
東洋医学からみた突発性難聴
東洋医学では、突発性難聴は「気血の巡り」や「腎・肝」の働きの乱れと関係すると考えます。
耳は「腎と密接な関係」にあるとされ、腎のエネルギーが弱まると
聴力に影響が出ると考えられています。
また、「肝」は気血の流れをコントロールする臓で、
ストレスや怒りなどの感情変化が肝の働きを乱し、
気滞(気の滞り)や血瘀(血の停滞)を引き起こすことで耳の血流が悪化し、
突発的な難聴を発症するとも言われます。
つまり、突発性難聴は「体と心の巡りの停滞」が耳に現れた状態ともいえるのです。
鍼灸による治療アプローチ
鍼灸治療では、耳そのものに鍼をするだけではなく、
「耳の働きに関わる経絡」を整える全身治療を行います。
内耳の血流を促進し、自律神経のバランスを調えることで、耳鳴りや詰まり感の軽減を目指します。
「よく使われるツボ」
〇聴宮(ちょうきゅう)・聴会(ちょうえ)・翳風(えいふう)
:耳周囲のツボで、内耳の血流や神経の働きを高める。
〇合谷(ごうこく):顔や頭部の血流改善に関係する万能のツボ。
〇太渓(たいけい):腎の機能を整え、耳の生命力を支える。
〇肝兪(かんゆ)・腎兪(じんゆ):背中にあるツボで、体全体のエネルギー循環を整える。
〇百会(ひゃくえ):頭頂部にあるツボで、気の流れを調え、自律神経を安定させる。
これらのツボに鍼やお灸を行うことで、耳周囲の血流を改善し、回復力を高めます。
自律神経を整えることの重要性
突発性難聴の多くは、強いストレスや疲労の蓄積が引き金になっています。
ストレスで交感神経が過剰に働くと、耳の毛細血管が収縮し、内耳の酸素や栄養が不足します。
鍼灸は副交感神経を優位にし、全身をリラックス状態に導くことで、耳への血流を改善。
施術後、「耳が軽くなった」「頭がスッキリした」と感じる方も多く、
自律神経の安定が回復の後押しになります。
西洋医学との併用
突発性難聴の治療は「時間との勝負」といわれます。
まずは耳鼻科での検査・診断・投薬が最優先ですが、鍼灸はその補助的治療として有効です。
特に、薬の治療を受けても耳鳴りや違和感が残る場合、
鍼灸による血流改善が有効に働くことがあります。
病院での薬と鍼灸治療の併用は、回復力を高めるのでかなりいいです!
また、ステロイド治療で体調を崩したり、
睡眠やストレスのコントロールが難しくなっている場合にも、
鍼灸は体のバランスをやさしく整えるサポートとして役立ちます。
鍼灸で期待できる効果
〇内耳・聴神経への血流促進
〇自律神経の安定(ストレス緩和・睡眠改善)
〇耳鳴り・耳閉感の軽減
〇肩や首まわりの緊張をゆるめ、耳の負担を減らす
鍼灸は「耳だけを治す」のではなく、「耳が働きやすい身体の状態」を整える治療法です。
生活の中でできるセルフケア
鍼灸治療と並行して、日常の中でも意識できるケアがあります。
:無理な仕事や睡眠不足を避ける
・ストレスを感じたら深呼吸や軽いストレッチを行う
・首・肩を冷やさず温めておく
・カフェイン・アルコールを控え、血流を保つ
・音の刺激(大音量・イヤホンの長時間使用)を避ける
これらは小さなことの積み重ねですが、回復を支える大切な習慣になります。
突発性難聴は、耳のトラブルであると同時に、身体全体のバランスの乱れが現れたサインでもあります。
鍼灸は、血流・気の巡り・自律神経を整えることで、
耳本来の回復力を高め、再発の予防にもつながるやさしい治療法です。
もし耳の違和感や聞こえづらさを感じたら、早めに専門医を受診し、
その上で鍼灸によるケアを取り入れてみてください。
耳と身体、そして心を一緒に整えることで、静けさと安心を取り戻していけるはずです。
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