帯状疱疹後神経痛とは?
帯状疱疹は、体の片側に強い痛みと発疹が現れるウイルス性の病気です。
発疹が治ったあとも、ピリピリ・ズキズキとした神経の痛みが残ることがあります。
これが「帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)」です。
皮膚の症状が治っても、痛みだけが何ヶ月、何年も続くケースも少なくありません。
「服が触れるだけで痛い」「夜も眠れない」「痛み止めが効かない」
そんな悩みを抱える方が多くいらっしゃいます。
帯状疱疹の原因は、水ぼうそうのウイルス(ヘルペスウイルス)の再活性化です。
子どものころにかかった水ぼうそうのウイルスは、治ったあとも神経節の中に潜んでいます。
加齢や疲労、ストレス、免疫力の低下などをきっかけに再び活動を始め、
神経を通って皮膚に炎症を起こします。
発疹や痛みが引いた後も、神経そのものが損傷していると
「痛みの信号」が誤って出続けてしまうことがあります。
これが帯状疱疹後神経痛です。
特に高齢者や、発疹の時点で痛みが強かった方ほど、長引く傾向があります。
鍼灸で期待できる効果
鍼灸治療は、神経の修復を助け、痛みを和らげる効果が期待できます。
東洋医学では、「気血(きけつ)」の巡りが滞ることで痛みが生じると考えます。
帯状疱疹後神経痛は、ウイルスの影響によって気血の流れが乱れ、
経絡(けいらく:気の通り道)が障害を受けた状態と捉えます。
鍼やお灸を用いて経絡上のツボを刺激することで、次のような作用が期待できます。
〇神経の興奮を抑える
鍼刺激によって脳内で痛みを抑制する物質(エンドルフィンなど)が分泌され、
過敏になった神経を鎮めます。
〇血流の改善
痛みのある部位は血行が悪く、冷えやすい状態です。
鍼灸によって局所の血流が改善され、栄養や酸素が神経へ届きやすくなり、修復を助けます。
〇自律神経の調整
帯状疱疹後の痛みは、ストレスや不眠と関係することも多いです。
鍼灸は交感神経と副交感神経のバランスを整え、身体全体をリラックスさせます。
〇体質改善
東洋医学的には「気虚」「血虚」「瘀血(おけつ)」など、
エネルギーや血の不足・滞りを整えることで、再発予防にもつながります。
よく使われるツボ
痛みの部位によって使うツボは異なりますが、代表的なものは以下のツボです。
〇合谷(ごうこく):痛み全般に用いられる万能のツボ
〇足三里(あしさんり):免疫力・回復力を高める
〇曲池(きょくち)・三陰交(さんいんこう):血流やホルモンバランスを整える
〇背部兪穴(はいぶゆけつ):痛みがある神経領域に対応して使用
痛みのある神経ラインに沿って鍼やお灸を施していきます。
皮膚が過敏な場合は、直接鍼を刺さず、遠隔のツボを使って全身の流れを整えることもあります。
灸を使う場合は、温かさでリラックス効果と血行促進を狙います。
現代医学と併用できる治療
鍼灸は薬を使わない自然療法のため、
内服薬(抗ウイルス薬・神経痛の薬)やブロック注射などとの併用も可能です。
「薬を減らしたい」「副作用が心配」「長引く痛みに新しい方法を試したい」
という方にも取り入れやすい治療です。
特に、初期の段階から鍼灸を行うことで、神経へのダメージを軽減し、
後遺症を防ぐ効果も報告されています。
痛みだけでなく、心も軽くなる治療
帯状疱疹後神経痛のつらさは、身体だけでなく心にも影響します。
慢性的な痛みは睡眠不足や不安感を引き起こし、
ストレスがさらに痛みを強めるという悪循環に陥りがちです。
鍼灸治療では、痛みを和らげるだけでなく、心身の緊張をほぐすことで
「リラックスして眠れるようになった」「痛みに対して前向きに向き合えるようになった」
といった声も多くあります。
まとめ
帯状疱疹後の神経痛は、「時間が経てば治る」と思って放っておくと、
慢性化してしまうことがあります。
鍼灸は、神経の回復を助け、痛みを和らげ、体と心のバランスを整えるサポートになります。
痛み止めだけでは解決しない慢性的な痛み。
鍼灸は、その「根本」にアプローチし、自然治癒力を引き出す治療です。
もし、発疹が治っても痛みが続いているなら、鍼灸を試してみる価値があります。
あなたの体がもつ「治る力」を、鍼灸で呼び覚ましていきましょう。
お困りの方は是非一度、鍼灸治療をお試しください。
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