眼精疲労とは
「眼精疲労(がんせいひろう)」とは、目を使いすぎたことによって起こる疲れが、休息をとっても十分に回復せず、頭痛・肩こり・倦怠感など全身の不調を伴う状態を指します。
症状
目の奥の重さや痛み
かすみ目・まぶしさ
目の乾燥・充血
頭痛や肩こり
吐き気、集中力低下
目を使う作業がつらい(読書・パソコン・スマホなど)
原因
長時間のパソコン・スマホ作業(ブルーライトの影響)
眼鏡やコンタクトの度が合っていない
自律神経の乱れやストレス
姿勢の悪さによる首肩の緊張
ドライアイや老眼など目の疾患
鍼灸との関係
鍼灸では、目のまわりや首・肩の筋肉の緊張を和らげることで血流を改善し、疲労物質の代謝を促します。また、自律神経を整える作用があるため、精神的ストレスが原因の眼精疲労にも有効です。
東洋医学の見解
東洋医学では、眼の機能は「肝」と「腎」に深く関係しており、肝血不足・肝陽上亢・腎精虚などが眼精疲労の原因とされる。また、長時間の目の使用は「気血」を消耗し、「肝血虚」に陥ることで目の機能が低下する。
鍼灸では、以下のような経穴が治療に用いられる。
攅竹(さんちく)・晴明(せいめい)・太陽(たいよう):眼周囲の気血循環を改善し、局所の疲労を軽減する。
風池(ふうち)・肩井(けんせい):後頭部・肩部の緊張緩和と血流改善に有効。
肝兪・腎兪・足三里・三陰交:全身の気血を補い、眼の働きを支える根本的な体質改善を図る。
結論
眼精疲労に対する鍼灸治療は、筋肉の緊張緩和、血流促進、自律神経の調整、さらに東洋医学的な「気血の巡り」の改善など、複合的なメカニズムにより高い効果が期待される。特に、薬物療法に頼らない自然な方法で体質から改善したい患者様にとって、有効かつ安全な選択肢となりうると思います。
セルフケア
① ツボ押し(指圧)
以下のツボを1回5〜10秒ほど押して3回繰り返すと効果的です。力を入れすぎず、ゆっくり深呼吸しながら行いましょう。
ツボ名 場所 効果
攅竹(さんちく) 眉頭の内側のくぼみ 目の疲れ、眉間の重だるさに有効
太陽(たいよう) こめかみの少し後ろ 目の奥の痛み、頭痛、目の充血
晴明(せいめい) 目頭と鼻の間のくぼみ 目のかすみ、眼精疲労全般
風池(ふうち) 首の後ろ、髪の生え際のくぼみ 頭痛、首こり、自律神経調整
② ホットアイマスクや蒸しタオル
目のまわりの筋肉をほぐし、血行を促進することで疲労物質を流しやすくします。
蒸しタオルを使う場合は、40℃前後の温かさで5〜10分ほど。寝る前の習慣にすると◎。
③ 眼球体操(視線ストレッチ)
パソコンやスマホ作業の合間に「眼球を上下・左右・ぐるっと一周」動かすことで、目の筋肉(眼筋)の血流を回復させます。
目をつぶった状態で行ってもOKです。
④ 姿勢の改善と深呼吸
猫背や前のめり姿勢は首・肩の筋肉を緊張させ、眼精疲労を悪化させます。
背筋を伸ばして座り、鼻から吸って口から吐く腹式呼吸を1日数回行うと、自律神経も整います。
⑤ 目に良い食材を摂る
ビタミンA(レバー・人参・ほうれん草)
ビタミンB群(豚肉・納豆・卵)
アントシアニン(ブルーベリー・黒豆)
ルテイン(ケール・ブロッコリー)
これらは目の粘膜や網膜の健康維持、血流改善に役立ちます。