東洋医学の基本「気・血・水」
東洋医学では、体の健康は「気・血・水」の3つが調和していることで成り立つとされています。
気(き)
生命エネルギー。臓器を動かし、血や水を巡らせる力。
血(けつ)
血液やそれに近い働きをする栄養分。体に栄養と潤いを届ける。
水(すい)
血以外の体液。リンパや体内の水分全般を含む。
むくみは、この「気・血・水」のどこに問題があるかで原因のタイプが分けられます。
むくみの3つのタイプ
① 気虚(ききょ)タイプ ―「巡らせる力」が不足
本来、気は血や水を押し流すポンプの役割を果たしています。しかし疲労やストレス、睡眠不足で気が弱ると、体液をうまく巡らせられず停滞してしまいます。その結果、むくみやだるさが現れやすくなります。
特徴:全身が重だるい、朝からむくんでいる、疲れやすい。
② 血瘀(けつお)タイプ ―「流れ」が滞る
血の巡りが悪くなると、同時に水の流れも滞ります。冷え、運動不足、ストレスなどで血流が滞ると、局所的にむくみやすくなります。特に下半身や顔などに現れやすく、痛みや冷えを伴うこともあります。
特徴:足のむくみが強い、冷えや肩こりもある、皮膚の色がくすむ。
③ 水滞(すいたい)タイプ ―「余分な水」が停滞
腎や脾の働きが弱まり、水分代謝が落ちると、余分な水が体内に溜まりやすくなります。雨の日や湿度の高い日に悪化するのが特徴で、体が重だるい、めまい、吐き気なども出ることがあります。
特徴:下半身や顔がむくむ、天気で症状が変わる、胃腸の不調もある。
鍼灸でむくみにアプローチする方法
鍼灸では、むくみのタイプに応じてツボを選び、気・血・水の巡りを整えていきます。
気虚タイプ
「足三里」「関元」などで気を補い、体全体の巡りを改善。
血瘀タイプ
「三陰交」「血海」などで血流を促進し、滞りを解消。
水滞タイプ
「陰陵泉」「腎兪」などで水分代謝を整え、余分な水を排出。
鍼やお灸の刺激は、自律神経を整えて血流やリンパの流れを良くし、内臓機能をサポートする働きがあります。
単なるマッサージでは届かない「体質改善」にアプローチできるのが鍼灸の強みです。
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日常生活でできる「むくみケア」
鍼灸とあわせて、普段の生活習慣を見直すことも大切です。
1.冷えを避ける
冷たい飲食や薄着は水の巡りを滞らせる原因。
2.適度な運動
ウォーキングやストレッチで血流を促進。
3.塩分・水分バランス
塩分の摂りすぎ、逆に水分不足もむくみにつながる。
4.十分な睡眠
気を養い、巡りの力を回復。
ちょっとした心がけで、むくみ体質は改善しやすくなります。
まとめ
むくみは単なる一時的な不調ではなく、体のバランスが崩れているサインでもあります。
東洋医学では「気・血・水」のどこに問題があるかを見極め、体質に合わせてアプローチすることで、根本からの改善を目指します。
「夕方になると足がむくむ」「雨の日は体が重だるい」といった症状は、体が助けを求めているサインかもしれません。
鍼灸で気・血・水を整え、むくみにくい体をつくることが、毎日を快適に過ごす近道になります。
