冬でも手のひらや背中がじっとりしたり、冷房の中でも額に汗がにじんだり。
実はこれ、東洋医学的に見ると“体のバランスの乱れ”がサインとして現れているのです。
「冷え」と「汗」はどちらも体温調節の働き
体は、体温を一定に保つために汗を出したり、血管を収縮させたりして調整しています。
しかし、この調整をつかさどるのが「自律神経」。
この自律神経が乱れると、体が正しく体温を管理できなくなり、「冷えているのに汗が出る」という逆転現象が起こるのです。
たとえば、緊張やストレスを感じた時、手のひらや足の裏に汗をかいた経験はありませんか?
これは“精神的なストレスによる交感神経の過剰反応”で起きる汗。
体は冷えているのに、神経の緊張で汗腺だけが開いてしまうのです。
東洋医学で見る「冷えのぼせ」と「虚熱」
東洋医学では、このような状態を「冷えのぼせ」や「虚熱(きょねつ)」と呼びます。
下半身が冷えているのに、上半身だけ熱を持ち、顔や首から汗が出る――。
これは、体のエネルギー(気)の流れが滞り、熱がうまく全身に巡らなくなっている状態です。
・下半身が冷えて血流が悪くなる
・その結果、上半身に熱がこもる
・こもった熱を逃がそうとして汗が出る
このように、冷えと汗は「真逆の現象」ではなく、実は深く関係しているのです。
鍼灸で整える「気・血・津液(しんえき)」のバランス
鍼灸では、体内の「気・血・津液(体を潤す水分)」のバランスを整えることで、このアンバランスな状態を改善していきます。
冷えているのに汗が出るタイプの方は、
・気が不足して体温調節がうまくいかない
・津液の巡りが悪くて熱がこもる
・ストレスで自律神経が乱れている
といった背景が考えられます。
鍼灸では、体表のツボを通してこの流れを整えます。
たとえば、冷えを改善する「足三里(あしさんり)」、汗の異常を調える「合谷(ごうこく)」、自律神経を整える「内関(ないかん)」などを組み合わせることで、体の“内側のリズム”を取り戻していくのです。
鍼灸後に感じる変化
鍼やお灸で体が温まると、血流が改善され、上半身にこもっていた熱が下に降りていくような感覚を覚える方が多いです。
「汗の出方が自然になった」「以前のように冷えと汗が同時に出なくなった」と感じる方も少なくありません。
鍼灸治療は、症状を“止める”というよりも、体が本来持っている調整力を取り戻すサポートをする療法。
そのため、続けていくうちに少しずつ「冷えにくい」「汗が落ち着く」といった変化が現れます。
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生活習慣も大切に
鍼灸で体のバランスを整えると同時に、生活の中でもできるケアがあります。
・冷たい飲み物を控え、常温か温かい飲み物を選ぶ
・お腹や腰まわりを冷やさないようにする
・深呼吸や軽いストレッチで自律神経を整える
・睡眠時間をしっかり確保する
これらを意識するだけでも、体の内側の「陰陽バランス(冷と熱)」が安定しやすくなります。
まとめ
冷えているのに汗が出るのは、体がうまく熱をコントロールできていないサイン。
自律神経の乱れや、気・血・水の滞りが関係していることが多く、放っておくと慢性的な冷えやだるさにつながることもあります。
鍼灸は、この“目に見えないバランス”を整えることが得意です。
「冷え」と「汗」、どちらも体の声。
鍼とお灸でその声に耳を傾け、内側からじんわり整えていくことで、自然な巡りを取り戻していきましょう。

