双極性障害とは
双極性障害(そうきょくせいしょうがい)とは、気分が異常に高揚する「躁(そう)状態」と、気分が著しく落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。以前は「躁うつ病」とも呼ばれていました。
種類
双極性障害には下記の2つの種類があります。
双極Ⅰ型障害
明確に躁状態とうつ状態がみられる状態です。躁状態では異常な興奮状態や行動力がみられるため、一時的に入院が必要な場合があります。
双極Ⅱ型障害
軽躁状態とうつ状態がみられます。軽躁状態では普段より調子が良い場合が多く、仕事や私生活において意欲的・積極的になると感じる方が多いです。うつ状態では強い抑うつ気分に襲われることが多く、軽躁状態とのギャップに精神的負荷を強く感じる場合が多いです。
原因
双極性障害は明確な原因は不明とされる疾患です。ただし、発症する因子として次のようなことが挙げられます。
生理的要因
生理的要因には、ホルモンバランスの異常が挙げられます。幸せホルモンとされるセロトニンは精神的な安定に関与します。また、ノルアドレナリンは血液循環を促進させ体や気分を活発にさせる働きがあります。これらのホルモンは精神活動に大きな影響を与えているため、その分泌バランスが乱れると精神的不安定に繋がります。
パーソナリティ(性格的傾向)
双極性障害にかかりやすいパーソナリティ(性格的傾向)には両極端な面を併せ持つ方が発症しやすい傾向にあります。
社交的で活動的な反面、落ち込み易く内省的な面を併せ持つと、気分の浮き沈みが激しくなり双極性障害を発症しやすくなるといわれています。
環境的要因
生活環境の変化や強いストレスによって引き起こされる場合があります。
・職場や家庭での慢性的(持続的)なストレス
・睡眠、栄養不足による不摂生
・大きな喪失体験(離婚や退職など)
・過去のトラウマ
症状
双極性障害の症状は躁状態とうつ状態を繰り返すことが特徴です。
躁状態
異常に気分が高揚している状態で、短時間の睡眠で日中はとても行動的になります。気持ちの衝動が激しいため、普段よりたくさん買ったり物事に積極的になったりします。
身体的特徴)
・睡眠時間が極端に短い(3〜4時間)
・身振りが大きく、落ち着きがない
・早口で話し続ける
・汗をかきやすく、喉がよく乾く
うつ状態
気分が落ち込み、意欲の低下がみられます。生理的欲求が減少するため、食欲の低下や性欲減退を伴う場合があります。さらに症状が強いと、絶望感や希死念慮に襲われる場合もあります。
身体的特徴)
・表情が乏しくなり笑顔が減少する
・身支度や歩くのが遅くなる
・消化器の不調を感じる
・肩や背中のコリ、だるさ
また、双極性障害は日常において次のような場面に合うことが増えます。
・衝動的に高額な買い物、大量の買い物を行い、また散財してしまったと後悔する
・集中が続かず、資料作成や報告が雑になってしまう
・入浴、着替え、掃除など日常生活が疎かになる
・会議中でも発言が減り、進行に消極的になる
・突然、普段しない場所の掃除や夜中に料理を始める
双極性障害の東洋医学
双極性障害を東洋医学で考えると、躁状態では肝陽上亢、心火旺盛などと捉えることができます。
また、うつ状態は心脾両虚、肝気鬱結、腎精不足などと捉えることが多く、自律神経や五臓の失調を調整することが目的になります。
東洋医学における「肝」とは臓器の肝臓と異なります。「肝」とは五臓のうちの一つで、気血の巡りなどを司る"機能の名称"です。気血の巡りとは全身の血流のことで、「肝」が正常に働くことで、全身に過不足なく血液を巡らせることができます。
例えば、肝陽上亢では肝の働きが過剰になってしまうため、運動した時と同じように血流が増加し興奮状態になります。つまり躁状態です。
また、肝鬱気滞では肝の働きが低下するため血液がうまく巡らず、全身の機能が低下します。こちらがうつ状態です。
高田馬場はりきゅう院の鍼灸施術
当院では自律神経測定器を導入しております。
普段見えない自律神経の働きを分かりやすく可視化してご確認いただけます。
現状を十分に把握した上で、ツボを使った東洋医学的な施術と、筋肉のコリを解消して血流を改善させる西洋医学的な施術の両面からアプローチしていきます。
東洋医学的な施術では、上記に挙げたような病態に対して太衝(足にあるツボ)、百会(頭にあるツボ)、心兪(背中にあるツボ)などを体とその病態に合わせて使っていきます。
また、首や肩、背中などの筋肉に硬さ(コリ)を感じる場合が多く、この辺りの硬さに鍼(はり)を行うことで血流を改善させてより体の緊張を緩めます。
双極性障害の西洋医学的治療
病院では主に薬物療法を中心に、必要に応じて認知行動療法や入院治療が行われます。
薬物療法:気分安定薬、抗うつ薬、抗精神病薬
認知行動療法:思考パターンの偏りを修正
セルフケア
双極性障害においてセルフケアはとても重要です。精神的な安定には生活習慣の安定が必要になるからです。
自分でできるケアから少しずつ整えていきましょう。
✔︎寝る時間と起きる時間を決める
✔︎就寝前には電子機器、カフェイン、アルコールを避ける
✔︎軽い運動を行う
✔︎服薬を自己判断で中止変更しない
✔︎家族、パートナーと一緒に病態への理解を深める