嗅覚障害とは
嗅覚とは、五感の内の一つでにおいを感じる感覚のことです。
嗅覚障害とは、においが感じられない、本来のにおいとは異なるにおいを感じる状態です。
においは食事やリラックス作用としての楽しみだけでなく、食品の腐敗やガス漏れなど危険を察知するためにも重要な情報となります。嗅覚障害により、生活の質に影響をきたし、精神的な落ち込みを引き起こすこともあります。
嗅覚障害に対する当院の治療
1、鼻の周りの血流改善
鼻の血流改善のため、鼻周りのツボに鍼やお灸を行います。刺激が大丈夫な方には電気刺激を加える場合もあります。鍼による血流改善、抗炎症作用で細胞の新陳代謝を促し、嗅覚の機能回復を図ります。
2、自律神経調節
自律神経の働きを整え、血流や体の回復力を促します。背中、お腹、手足のツボを用いた全身の施術になります。
3、首方周りの筋緊張の緩和
首肩周りの筋緊張は頭部の血流の悪さにつながるので、首方周りの筋緊張をとっていきます。
東洋医学では、鼻は肺に属し、肺の不調が嗅覚障害を引き起こすと考えられています。
そのため、肺の機能を補うために、肺に関係するツボを用いて施術を行います。
においを感じる仕組み
鼻から吸い込まれたにおい分子は、鼻腔を通り、鼻腔の天井部分にある嗅上皮と呼ばれる粘膜に溶け込みます。すると、嗅上皮にある嗅細胞が電気信号を発生させ、嗅神経を通じて大脳の嗅球に伝わります。そして、脳内でこれまでの経験や記憶の情報と照合し、どのようなにおいか認知するのです。
嗅覚障害の病態
嗅覚障害は、大きく「量的嗅覚障害障害」と「質的嗅覚障害」に分けられます。
1、量的嗅覚障害
においの感覚が通常より弱く感じる「嗅覚低下」と、全くにおいを感じない「嗅覚脱失」の状態に分類されます。
2、質的嗅覚障害
通常のにおいとは異なるにおいを感じる状態です。代表的なものには「異嗅症」があります。
「刺激性異嗅症」とは、本来のにおいとは異なるにおいを感じたり、何のにおいを嗅いでも同じにおいに感じる状態です。
「自発性異嗅症」とは、周囲ににおいの物質が存在しないにも関わらず、常ににおいを感じていたり、突然においを感じたりと、本人のみが自覚的ににおいを感じている状態です。
ある特定のにおいのみが分からない「嗅盲」や、においを敏感に感じる「嗅覚過敏」の状態もあります。
嗅覚障害の原因
嗅覚障害は、鼻腔から大脳までのにおいを感じる経路のどこかに異常が生じ発生します。
気導性嗅覚障害、嗅神経性嗅覚障害、中枢性嗅覚障害の三つに分類され、慢性副鼻腔炎、感冒、頭部外傷が三大原因となります。
1、気導性嗅覚傷害
鼻腔粘膜の浮腫やポリープ(鼻茸)、腫瘍などによりにおい分子が嗅上皮に到達しないために生じる嗅覚障害です。
風邪による鼻炎、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症などが原因となります。
2、嗅神経性嗅覚障害
嗅上皮の炎症、嗅細胞や嗅神経が傷害されることで生じる嗅覚障害です。
ウイルス感染(風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など)、頭部や顔面部の外傷、薬剤、化学物質などが原因となります。ウイルス感染では嗅細胞がダメージを受け、回復後にも嗅覚障害が残ることがあります。
3、中枢性嗅覚傷害
脳の嗅覚中枢が傷害されることで生じる嗅覚障害です。
脳挫傷、脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症などが原因となります。パーキンソン病やアルツハイマー型認知症などの神経変性疾患では、神経変性が起こり初期症状として嗅覚の減退が生じます。また、加齢に伴い嗅細胞の数の減少、機能低下、認知能力の低下により嗅覚障害が起こります。
4、その他の嗅覚障害
原因不明な嗅覚障害の場合では、多くが心因性によるものと考えられています。
うつ病や感冒後、妊娠期においては、嗅覚が過敏になる嗅覚異常が起こることがあります。
日常生活でのセルフケア
・アロマオイルを嗅いで、嗅覚を刺激しましょう
神経は適度に使えば使うだけ鍛えられるため、色んな香りのアロマオイルを嗅いで嗅覚をトレーニングしましょう。
・ストレスを解消し、生活習慣を整える
ストレス解消や適度な運動、十分な睡眠、バランス良い食事は、自律神経のバランスを整え、細胞の新陳代謝を促します。