喘息と咳喘息

喘息は気道に炎症が起こることで、咳・痰・息苦しさ・喘鳴などの症状がみられる疾患です。
気管支喘息ともいいます。

咳喘息は気管支喘息とは異なり、喘鳴を伴わない咳のみが症状の疾患です。

喘鳴(ぜんめい)とは呼吸をする際に、ゼーゼーやヒューヒューなどと音が出ることをいいます。

原因

喘息は気道の炎症が原因で起こります。
気道とは呼吸した空気の通り道のことで、気管支を指します。
喘息の場合、気道は発作が出ていない時でも炎症が起きていて敏感な状態になるため、少しの刺激でも反応します。
また、平滑筋が縮むことで気道がさらに狭くなります。これも症状を誘発させる原因のひとつです。

咳喘息は咳嗽(がいそう)反射の亢進が原因で起こります。
アレルギー炎症などにより気道の過敏性が亢進し、気道が少しでも伸び縮みすると咳が出やすくなってしまうと考えられます。繰り返し起こるのが特徴です。

症状

喘息

気管支の炎症が悪化すると粘膜のむくみが生じて、痰や咳などの症状がみられます。また気道が狭くなり、空気が通りにくくなることで喘鳴や息苦しさなど様々な症状を引き起こします。
咳、痰、喘鳴、息苦しさなどが主な症状です。
喘息の症状は発作的にみられ、夜から早朝や季節の変わり目に起こりやすいことが特徴です。
発作の原因としては風邪、運動、アレルギー、たばこ、気温や気圧の変化などがあげられます。

咳喘息

気管支喘息と似ている疾患ですが、咳喘息は喘鳴や息苦しさなどを伴わない咳のみが症状として現れます。
咳は昼夜問わず出ますが、寝る前・深夜・早朝に悪化することが特徴です。季節の変わり目や寒暖差、運動、喫煙、花粉や黄砂、悪天候などの影響によっても悪化しやすいです。
また、咳以外の症状として、喉の違和感を起こすこともあります。胸部(喉から気管の辺り)が重いと感じる方もいます。特徴的な所見として、イガイガ感(痒い感じ)と締めつけ感があげられます。

自律神経との関係

喘息や咳喘息の発症や悪化には、自律神経の働きが大きく関与しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は気管支を拡張し、副交感神経は気管支を収縮させる作用を持ちます。
自律神経が働くと気管を拡張し、痰の量を減らし喘息を楽にしますが、副交感神経はその逆の働きをします。
正常な場合は自律神経のバランスが上手く保たれていますが、喘息の場合は精神的、心理的に動揺しやすい傾向にあり、不安感やストレスなどで副交感神経が異常に高まることがあります。
また夜間や早朝に症状が悪化しやすいのは、副交感神経が優位になりやすい時間帯だからと考えられます。

喘息・咳喘息と西洋医学

西洋医学では、喘息や咳喘息は主に気道の炎症と気管支の過敏性が原因とされています。
喘息は慢性的な気道の炎症を伴い、発作時には気管支が強く収縮するため、呼吸困難を引き起こします。
一方、咳喘息は気道の炎症が主な要因で、ヒューヒュー・ゼーゼーという喘鳴を伴わず、長引く咳が特徴です。
治療には、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬が用いられ、炎症を抑えたり、気管支を広げたりすることで症状を改善します。また、アレルギーや風邪をきっかけに発症することも多いため、抗アレルギー薬や漢方薬が併用されることもあります。

喘息・咳喘息と東洋医学

東洋医学では、喘息や咳喘息は「肺」の機能低下が主な原因とされます。
肺は「気」を管理する臓器であり、外界とのバリア機能を担っています。肺の機能が弱まると、外部からの刺激（冷気・湿気・ホコリなど）に過敏に反応し、咳や呼吸困難を引き起こします。また、ストレスや疲労によって「肝」の働きが乱れると、自律神経のバランスが崩れ、気の流れが滞ることで症状が悪化します。さらに脾や腎の機能が低下すると、体内の水分代謝が悪くなり、痰が溜まりやすくなるため、喘息の発作を引き起こしやすくなります。
東洋医学では、これらのバランスを整え、自然治癒力を高めるサポートをします。

鍼灸治療の効果

鍼灸治療は自律神経のバランスを整え、気管支の過敏性を抑える効果があります。
特に「肺兪」や「膻中」や「足三里」などのツボを刺激することで、肺の機能を高め気道の炎症を和らげることができます。また、「合谷」や「百会」といったツボは、自律神経の調整に効果的で、ストレスによる症状の悪化を防ぐことができます。
さらに温灸を併用することで、冷えによる気管支の収縮を防ぎ、喘息発作の予防にもつながります。
西洋医学と東洋医学の両面からアプローチすることで、より効果的な治療が可能となります。特に鍼灸治療は自律神経を整え、気道の過敏性を抑える効果があるため、薬に頼りすぎずに症状を改善したい方にとって、有力なサポートになります。