不妊症とは?
不妊症とは、生殖年齢にある男女が妊娠を望み、避妊せずにある一定期間継続的に通常の性交を行っているのにもかかわらず、妊娠の成立をみない状態をいいます。
「一定期間」について1年間とするのが一般的であるが、妊娠のために医学的介入を必要とする場合では期間を問わないとされています。
通常1年で約80%が妊娠すると報告されており、不妊の頻度は10〜20%と推測されています。
不妊症の原因
女性の不妊の原因となる原因は、さまざまありますが、
このうち卵管因子、排卵(内分泌系)因子に男性不妊因子を加えた3つの因子は原因である頻度が高く、不妊症の3大原因といわれています。
女性不妊
1.卵管因子
卵子と精子の通り道である卵管の閉塞、狭窄や、卵管周囲の癒着で卵管に問題があるために起こる不妊です。
卵管通過障害、卵子が卵管に取り込まれないピックアップ障害が起こります。
2.排卵(または内分泌系)因子
視床下部-下垂体-卵巣系のいずれかに異常が生じ、排卵が正常に行われないために引き起こる不妊です。
ホルモン分泌異常や月経不順が起こり、排卵障害、無排卵、早発閉経がみられます。
3.原因不明
原因がないのではなく、現在可能な検査を行っても器質的な原因を特定できず、明らかな原因究明ができないものです。
想定されている要因としては、加齢による卵子の質の低下、子宮内膜ホルモン感受性の低下などがあります。
男性不妊
男性の不妊の原因は、精子がつくられる過程で何らかの問題が生じている場合や精子を運ぶ精管に問題がある場合、またはうまく性交できない勃起障害などがあります。
・造精機能障害
精子をつくる機能がうまくいかず、十分な精子がつくられない状態をいいます。
造精機能障害は、男性不妊の90%以上も占めているといわれており、精子の数が少なかったり、精子の運動率の低下または重症となると全く精子がつくられない場合もあります。
近年では、食生活や生活習慣の変化から成人男性の精子数が減少しているという研究結果がでており、運動率も低下してきています。
また寝不足や過労も深く関係するといわれており、ストレスは、精子をつくる機能に影響を与えて男性不妊の原因になります。
東洋医学による不妊症
1.腎陽虚による不妊
陽虚体質の者、先天的な腎気不足、房事過多などによる腎気の消耗があり腎陽虚となると、温く作用の低下から女子胞(子宮)に精を固摂できず不妊となります。
月経が遅れ気味、経血量が少なく、経血の色が暗い、
手足の冷え、腰や膝の痛み、朝方の下痢を起こしやすいタイプといわれています。
2.腎陰虚による不妊
抑うつ傾向の者、情志の失調などにより肝の疏泄機能が失調すると肝鬱気滞となり、女子胞(子宮)を阻滞させると不妊となります。
月経は乱れがち、経血量は多かったり、少なかったり一定しない、月経血に血塊が混じることがあります。
肝鬱気滞の症状として、乳房部、胸脇部の張りや痛み、抑うつ、イライラしやすいタイプです。
3.痰湿による不妊
肥満体質の者、脂っこいもの、甘いもの、味の濃いものを好む者などは脾を損傷しやすく、運化機能が失調して痰湿を生じ、女子胞(子宮)を阻滞させると不妊となります。
月経が遅れ気味、月経が来ない、おりものの増加などがみられます。
痰湿の症状として、頭重、めまい、むくみやすいタイプです。
当院の治療
不妊症の方は、妊娠できないかもしれないというプレッシャーを常に抱え、不妊症のために社会的、経済的にも大きなストレスにさらされています。
そのため、ストレスを軽減し、妊娠しやすい身体つくりのため自律神経の調整をしていきます。
自律神経とは交感神経と副交感神経のことをいいます。
当院の鍼灸治療では、交感神経を抑制し、副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の活動量を高めて自律神経バランスを整え、妊娠しやすい身体をつくります。
子宮内膜や卵巣の適度な血流は着床や卵子の発育に欠かせないため、子宮まわりの血流を向上させる目的として
「腎兪、関元、中極、帰来」のツボを刺激します。
生殖機能には視床下部ー下垂体ー卵巣系が関与しており、妊娠までのすべての過程で内分泌系の影響が存在します。卵巣機能の改善や卵胞の発育、排卵の調節を目的として
「百会、合谷、頭維」のツボを刺激します。
どれも鍼は痛くなく、お灸も熱すぎない、心地よい刺激で行っていきます。
鍼灸治療がはじめての方には、鍼やお灸の説明から治療に入りますのでご安心ください。
当院の不妊症に対する治療目的は、不妊で悩んでいる方の妊娠する確率を少しでもあげ、正常な妊娠、出産のサポートをすることです。
妊娠するのは患者さま自身ですが、ご家族を含めた周りのサポートはとても重要なものとなっています。
相談しやすい環境作り、心地良い空間つくりを心がけて日々治療しております。
また、西洋医学とは違う東洋医学の観点から少しでも妊娠できる機会を提供し、お役に立てるように尽力していきます。