むくみとは何か

むくみとは、体内の余分な水分が細胞と細胞の間（間質）にたまる状態を指します。医学的には「浮腫（ふしゅ）」とも呼ばれ、静脈やリンパの流れが滞ることで起こります。

軽度なものは体勢や生活習慣で起こることが多く、一晩で回復することもありますが、慢性的なむくみは体の巡りが根本的に滞っているサインであることも少なくありません。

東洋医学から見る「むくみ」

東洋医学では、むくみは「水（すい）」の代謝障害と考えます。
本来、体の中を巡る「気・血・水（き・けつ・すい）」がバランスよく流れていることで健康が保たれますが、その流れに偏りが生じると、不調として現れます。

むくみを起こす主なタイプ

・脾虚（ひきょ）
原因→胃腸の働きが弱く、体内の水分をうまく処理できない
特徴→食後に重だるさ、舌の歯痕

・腎虚（じんきょ）
原因→老化・冷え・過労により、体の水分調整能力が低下
特徴→下半身のむくみ・冷え・頻尿など

・気滞（きたい）
原因→ストレスや自律神経の乱れで気の巡りが滞る
特徴→張るようなむくみ・月経異常を伴うことも

・血瘀（けつお）
原因→血の流れが悪く、代謝が停滞する
特徴→触れると冷たい・皮膚がくすむ・慢性的な冷え

鍼灸治療ではどうするのか？

鍼灸では、単に足だけに施術するのではなく、「全身の巡りを整える」ことを重視します。
その方の体質や生活習慣を見極めたうえで、以下のようなツボを選び、むくみの根本原因にアプローチしていきます。


・主に使われるツボ

陰陵泉（いんりょうせん）…水の排出を促進し、足の重だるさを改善

三陰交（さんいんこう）…女性の体調全般を整える万能点。冷え・むくみに効果的

腎兪（じんゆ）・太谿（たいけい）…下半身の冷えや腎機能の調整に

足三里（あしさんり）…胃腸の働きを高め、体力・代謝UP

さらに、お灸で温めながら施術することで、巡りの改善とリラックス効果を高めることができます。

まとめ：むくみは“体からのSOS”

「たかがむくみ」と思われがちですが、慢性的なむくみは、内臓の疲れ・冷え・自律神経の乱れ・体質のアンバランスと深く関わっていることが少なくありません。
鍼灸ではその人の“内側の巡り”に目を向け、自然治癒力を引き出すことで、むくみの根本改善をめざします。

足の重だるさにお悩みの方は、ぜひ一度、鍼灸で体の巡りを整えてみませんか？