【五十肩とは?】
五十肩(ごじゅうかた)とは、正式には「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」と呼ばれる疾患で、40代以降に多く見られる肩の痛みと可動域制限(動かしにくさ)を特徴とする状態です。
・肩関節を構成する腱板(けんばん)や関節包(かんせつほう)、滑液包などが炎症・癒着・変性を起こすことで、痛みや腕の挙上困難が生じる疾患です。
・明確なきっかけ(ケガや外傷)はなく、徐々に痛みが出て動かしづらくなるのが特徴です。
【五十肩の原因】
現代医学的には「明確な原因は特定されていない」が、以下のような要因が複合しています。
・加齢による変性→40〜60代に多く、腱板や関節包の柔軟性が低下しやすくなる
・ 血流障害→肩の深部組織は血流が乏しいため、修復が遅れ炎症が長引く
・ 長年の使いすぎ・同じ姿勢→デスクワーク・育児・運転など肩に負担がかかり続けた結果
・ 糖尿病などの代謝疾患→五十肩のリスクが高く、治りづらい傾向がある
・ 自律神経の乱れ・ストレス→筋肉のこわばりや回復の遅れに影響することも
【東洋医学から見た原因】
東洋医学では五十肩を「肩痺(けんひ)」や「肩癰(けんよう)」と呼び、気血(きけつ)の流れが滞ったことで起こる痛みや運動障害と考えます。
特に「風寒湿(ふうかんしつ)」という外的な冷えや湿気の影響や、加齢や疲労による「腎虚(じんきょ)」、気血不足、経絡の詰まりが原因となります。
鍼灸でのアプローチ
鍼灸治療では、痛みのある局所だけでなく、肩の動きに関係する広い筋肉・経絡の流れを整えていきます。
・主に使われるツボと目的
肩髃(けんぐう)・肩貞(けんてい)→ 局所の炎症と可動域改善
曲池・合谷 → 上肢全体の気血を整え、炎症を抑える
肩井・天宗 → 肩甲骨周囲の筋肉の緊張をゆるめる
阿是穴(あぜけつ)→ 圧痛点に直接アプローチする個別のツボ
必要に応じて温灸や灸頭鍼を組み合わせ、冷えによる血行不良を改善することもあります。
また、五十肩は自律神経の乱れや睡眠の質低下とも関わりが深いため、全身調整も非常に有効です。
【症状の3ステージに応じた施術】
五十肩には、次のような進行段階があり、それぞれに適した施術が必要です。
急性期(痛みが強い)
→ 鎮痛中心、炎症をおさえ、深部まで刺激を入れすぎない
慢性期(痛みはやや落ち着くが動かしにくい)
→ 動きの改善と血流促進、筋膜のリリースが中心
回復期(動くが違和感がある)
→ 可動域の最終調整・左右差の修正・再発予防
【まとめ|五十肩に鍼灸という選択肢を】
「年齢のせい」と諦めず、体の声に耳を傾け、早めに整えることで回復のスピードが変わります。
鍼灸は、痛みや動きの改善だけでなく、自然治癒力を高め、再発しにくい身体づくりにもつながる施術です。
肩の不調を感じたら、我慢せずに一度ご相談ください。
日常の動きがラクになる日常を、鍼灸でサポートします。