【ドライアイの主な原因とは?】
ドライアイは、単に涙の分泌量が少ないだけではなく、涙の質のバランスが崩れることでも起こります。涙は「水」「油」「ムチン(粘液)」の三層からなり、どれかが不足すると目の表面が安定せず乾きやすくなります。
原因としては以下が代表的です:
・パソコン・スマホの長時間使用
まばたきの回数が減り、涙の蒸発が増加します。
・コンタクトレンズの装用
涙が吸収されやすくなり、目の表面が乾燥しやすくなります。
・加齢やホルモンバランスの変化
特に女性は更年期前後に涙の分泌が減少する傾向があります。
・ストレスや自律神経の乱れ
交感神経が優位になると涙腺の働きが抑制され、分泌が減ります。
・空調による乾燥環境
オフィスや車内、飛行機などの乾燥した空気も一因に。
・薬の副作用
抗アレルギー薬や降圧薬、抗うつ薬などの影響で涙が減ることもあります。
【西洋医学的な対応と限界】
西洋医学では、人工涙液やヒアルロン酸点眼、涙点プラグなどによる対症療法が中心です。これにより一時的な潤いは得られますが、根本的に体質や涙腺の働きを改善するわけではありません。
そのため、「点眼してもすぐ乾く」「一日何回も目薬が必要」「一向によくならない」と感じる方も少なくありません。
【東洋医学の視点:ドライアイは“内からくる乾き”】
東洋医学では、ドライアイを「肝・腎・肺の不調や気血津液の不足」としてとらえます。目は「肝と密接な関係」があり、肝が弱ると目が潤いにくくなると考えられています。
また、腎の精(生命エネルギーの源)が不足すると体の潤いが失われ、肺の働きが滞ると水分の循環がうまくいかなくなります。
ドライアイに多い体質の一例:
・肝血虚(かんけっきょ)タイプ
目が乾く、視力の疲労、立ちくらみ、爪が割れやすいなど。
・陰虚(いんきょ)タイプ
目の奥のほてり、寝汗、喉の渇き、手足の火照りなどがある。
・気虚(ききょ)タイプ
疲れやすく、まばたきが重い感じ。涙の量が足りない。
・ストレス型(気滞)タイプ
まばたきが浅く、目が張るような違和感。胸がつかえる感じも。
こうした体質を見極めた上で、その人に合った経穴(ツボ)を選び、鍼やお灸でアプローチするのが東洋医学的な鍼灸治療です。
【鍼灸でのアプローチ】
鍼灸では、ドライアイの背景にある体質の乱れや巡りの滞りを整え、目の機能を内側から高めていくことを目指します。
主な施術内容:
・目の周囲へのやさしい鍼刺激
攅竹(さんちく)、晴明(せいめい)、承泣(しょうきゅう)など、目の周辺のツボを使って目の緊張をほぐし、血流を改善します。
・肝・腎・肺を整えるツボ
肝兪、腎兪、肺兪などの背部ツボを使い、全身の潤いと循環を高めます。
・自律神経の調整
百会、内関、神門などのツボでストレスによる緊張を緩め、涙の分泌をサポート。
・眼精疲労や肩こりの改善
肩井、風池、天柱などを用いて、首や肩のこりによる眼精疲労を和らげます。
・お灸による温熱刺激
三陰交や太谿などのツボにお灸を用いることで、体を温め、潤いのある状態へと導きます。
施術を繰り返すことで、「目薬が手放せなくなっていた方が、1日に使う回数が減った」「目の疲れがたまりにくくなった」といった変化を感じられる方も多くいらっしゃいます。
【まとめ:点眼だけに頼らない“根本から潤う目”へ】
ドライアイは、目薬や対症療法だけでは改善しにくい“体質の乱れ”が背景にあるケースが少なくありません。
鍼灸は、体全体を見ながら目の潤いと働きを支える内側の環境を整える治療法として、現代人にこそ必要とされるケアのひとつです。
当院では、女性鍼灸師が丁寧なカウンセリングと体質チェックを行い、一人ひとりに合わせた施術を提供しています。点眼に頼る日々から抜け出したい方、パソコン作業が多く目の疲れを感じやすい方は、ぜひ一度ご相談ください。
駅から徒歩4分、落ち着いた空間で、心と目をそっと整える時間を。
あなたの目に、本来の潤いとやさしさを取り戻していきましょう。