【手根管症候群とは?】
手首には、骨と靭帯で囲まれた「手根管(トンネル)」という狭い空間があり、その中を「正中神経」と9本の腱が通っています。このトンネル内で神経が圧迫されることで、手のしびれや痛み、運動障害などが生じます。
主な症状:
・親指・人差し指・中指のしびれや痛み
・特に夜間や朝方に症状が強くなる
・細かい作業がしにくい、落とし物が増える
・進行すると親指の付け根(母指球)がやせる
【手根管症候群の主な原因】
手根管内の圧力が上がることで、正中神経が慢性的に圧迫されて発症します。以下のような原因が関係すると考えられています:
・長時間の手作業・パソコン作業
キーボードやマウス操作、縫い物、調理、育児など。
・ホルモンバランスの変化
妊娠・出産・更年期などで体液のバランスが崩れやすく、手根管内がむくみやすくなります。
・糖尿病・甲状腺疾患・リウマチ
代謝や血流の異常により神経が障害されやすくなります。
・骨折・手首の変形
外傷や変形性関節症などで手根管が狭くなることも。
【西洋医学的な治療法とその限界】
整形外科では以下のような治療が行われます:
・消炎鎮痛薬やビタミンB12製剤の内服
・ステロイド注射による炎症抑制
・装具(サポーター)での安静
・手根管開放手術(神経の圧迫を解消)
軽症であれば保存療法で改善することもありますが、症状が慢性化したり再発したりすることも少なくありません。また、手術をしても完全に回復しない場合もあります。
【東洋医学の視点:気血の滞りと「痺証(ひしょう)」】
東洋医学では、手根管症候群のようなしびれや痛みを「痺証(ひしょう)」といい、「気(き)」「血(けつ)」の巡りが悪くなって末端まで栄養が届かなくなることで発症すると考えます。
とくに関係するのは以下のような体質です:
・気血両虚タイプ:疲れやすく、冷えやすい。筋肉がこわばりやすい。
・瘀血(おけつ)タイプ:血行不良。手の冷えや痛み、慢性的なこりがある。
・湿熱(しつねつ)タイプ:むくみやすく、関節に熱感。更年期やリウマチ傾向。
このように、単なる神経の圧迫ではなく、体全体のバランスの崩れから症状が起きているととらえるのが東洋医学の特徴です。
【鍼灸でのアプローチ】
鍼灸では、手のしびれや痛みに直接作用すると同時に、全身の巡りを整えて根本から改善を目指します。
1. 手首周囲の局所治療
大陵(だいりょう)・労宮(ろうきゅう)・内関(ないかん)など
正中神経に沿った手首・手のひらのツボにやさしく鍼を打ち、神経や腱の炎症を鎮めます。
2. 経絡(けいらく)の流れを整える
手の経絡(とくに心包経・肺経・大腸経)に関係するツボを使い、気血の滞りを解消。
例:曲池(きょくち)、合谷(ごうこく)、肩井(けんせい)など。
3. 自律神経や血流の調整
神門(しんもん)、太衝(たいしょう)、三陰交(さんいんこう)などでストレスや血流を整え、体質を根本から改善。
4. お灸や温灸で血行促進
手首や肘周囲に温熱刺激を加えることで、炎症の慢性化や冷えによる悪化を防ぎます。
【患者さまの声】
「夜中のしびれで目が覚めなくなった」
「手術を勧められていたけど、鍼灸で改善して避けられた」
「育児中で通院できず困っていたが、手の痛みが和らいで家事が楽になった」
このような感想を多くいただいています。
【まとめ:自然な回復力を引き出す鍼灸の力】
手根管症候群は、日常の些細な負担が積み重なって起きることが多い分、体の巡りを整え、本来の自然治癒力を引き出す鍼灸がとても相性の良いアプローチです。
手術を検討している方、薬が効かないと感じている方、体質そのものを整えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
【当院のご案内】高田馬場はりきゅう院
当院では、女性鍼灸師が丁寧なカウンセリングを行い、症状の背景にある体質を見極めたうえで施術を行っています。施術はすべて完全予約制。プライベートな空間で安心して施術を受けていただけます。
駅から徒歩4分。心と体がほっとゆるむ鍼灸院です。
症状を“押さえる”だけでなく、“治る力”を引き出していきましょう。