膝の不調の原因【現代医学の視点】
膝は人体の中でも複雑で重要な関節です。関節の構造上、さまざまな要因でトラブルを起こしやすい部位です。主な原因としては以下のようなものが挙げられます。
1. 加齢や変形性膝関節症
中高年層に多い原因です。関節の軟骨がすり減って炎症が起こることで痛みが生じるのが特徴で、進行すると正座や歩行が難しくなることもあります。
2. 運動不足・筋力低下
特に太ももの筋肉(大腿四頭筋)の筋力が低下すると、膝関節の支持力が弱まり、関節にかかる負荷が増大します。日頃の姿勢や歩き方も影響します。
3. 冷えや血行不良
女性に多く、冷房環境や冷たい飲食物の摂りすぎによって、膝関節周囲の血流が悪化し、違和感や痛みが慢性化しやすくなります。
4. 怪我や使いすぎ
運動習慣がある人には、靭帯損傷、半月板損傷などの怪我による不調も見られます。軽微な炎症や水腫が慢性化すると、違和感が残ることもあります。
膝の不調のとらえ方【東洋医学の視点】
東洋医学では、膝の痛みや不調は「経絡(けいらく)の滞り」や「気血(きけつ)の不足」によって生じると考えられています。
主なタイプは以下の通りです。
● 腎虚(じんきょ)タイプ
腎は骨や関節の健康をつかさどります。加齢や慢性疲労によって腎の働きが弱まると、膝に栄養や潤いが届かなくなり、痛みやだるさが生じやすくなります。
● 寒湿(かんしつ)タイプ
冷えや湿気が身体に入り込み、関節に滞ることで痛みやこわばりが起きるタイプ。「天気が悪いと膝が重だるい」など気候の影響を受けやすいのが特徴です。
● 瘀血(おけつ)タイプ
血流が滞っている状態。古傷や慢性痛に多く、**「ズキズキする」「刺すような痛み」**が現れます。
● 気血両虚タイプ
エネルギー(気)と血液(血)の両方が不足している状態で、膝の力が抜ける・立ち上がるのがつらい・冷えると悪化するなどが特徴です。
鍼灸による膝の不調へのアプローチ
東洋医学の診断法(問診・舌診・脈診)を通して体質を把握し、体の内側から改善を促すのが鍼灸の特徴です。
1. 血流と気の巡りを整える
鍼やお灸でツボを刺激することで、**膝関節周辺の血流が促進され、痛み物質や老廃物が排出されやすくなります。**加えて、エネルギー(気)の巡りも活性化されるため、関節の可動域や筋力も改善されやすくなります。
2. 冷えや湿気による不調に対応
お灸や温灸は冷えに対して非常に効果的です。冷えが原因の膝痛には、温かくやさしい刺激で改善を促す施術が選ばれます。
3. 筋肉や靭帯への直接的なアプローチ
鍼は筋肉の緊張やコリを和らげる効果もあり、膝周囲の筋肉バランスを整えることで、関節への負担を減らすことができます。
使用する代表的なツボ
・足三里(あしさんり):膝痛の特効穴。胃腸の調子を整えつつ、足の気血の巡りを促進。
・陽陵泉(ようりょうせん):筋肉・筋膜のトラブルに。膝外側の痛みにも。
・膝眼(しつがん):膝のお皿の周囲にあるツボで、膝の前面の痛みに。
・陰陵泉(いんりょうせん):湿をさばき、膝の内側の痛みに有効。
・太渓(たいけい):腎を補い、下半身全体の力をサポート。
これらのツボを、症状や体質に応じて組み合わせて使用します。
当院の特長
当院では、ひとりひとりの症状や体質を見極めたうえで、オーダーメイドの鍼灸施術を行っています。膝の痛みは「年齢のせいだから仕方ない」と諦めてしまいがちですが、しっかりとケアすることで改善が期待できます。
女性鍼灸師が常駐しており、繊細な身体の変化にも丁寧に対応。駅から徒歩4分の通いやすい立地で、継続しやすい環境が整っています。
さいごに
膝の痛みや不調は、日常生活に大きなストレスをもたらします。特に階段や坂道、しゃがみ動作が辛くなると、動くことそのものが億劫になり、さらに筋力が低下し悪循環に…。
そうなる前に、「巡り」を整え、内側からケアする鍼灸をぜひ取り入れてみてください。
あなたの膝が軽やかに、安心して一歩を踏み出せるよう、全力でサポートさせていただきます。