原因とは?
1:自律神経の乱れによる眠気
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」からなり、昼間は交感神経が優位になって活動モードに、夜は副交感神経が働いて休息モードになります。
しかし、ストレスや生活リズムの乱れによってこのバランスが崩れると、昼間に副交感神経が優位になってしまい、頭が冴えず、眠気が襲ってきます。
これが「自律神経失調」による日中の眠気です。
さらに現代人は、仕事やスマホで交感神経が夜になっても過剰に働き続け、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下しがちです。その結果、十分寝たつもりでも脳や体の疲れが取れず、日中に再び眠気が襲ってくるという悪循環に。
2:脳疲労・眼精疲労
情報過多の現代では、目と脳を酷使しすぎる傾向があります。
目を酷使すると首や肩の筋肉も緊張し、血流が滞り、脳への酸素や栄養の供給が不足しがちになります。
その結果、ぼんやりしたり、頭が重く感じたり、眠気につながることが多くなります。
「仕事中に頭が働かない」「朝から疲れている」などの症状は、このタイプに多く見られます。
3:東洋医学的にみる“眠気”とは?
東洋医学では、「眠気」は「気(き)」「血(けつ)」「津液(しんえき:体の潤い)」の巡りが悪い状態ととらえます。
特に関係するのが以下の2つ:
・脾(ひ):食べたものから気血を生み出す
・腎(じん):生命エネルギーの貯蔵庫、成長や老化、ホルモンバランスにも関わる
「脾」が弱ると栄養が十分に取り込まれず、体にエネルギーが不足して常に眠い、だるいといった症状に。
また、「腎」の力が弱まると、脳や体が疲れやすくなり、集中力の低下や過剰な眠気につながります。
鍼灸で眠気を整えるアプローチ
鍼灸は、「今感じている眠気」だけでなく、「なぜ眠くなるのか」という根本原因にアプローチできます。
たとえば――
自律神経の乱れによる眠気には、百会(ひゃくえ)、内関(ないかん)、神門(しんもん)などのツボを使ってリラックスと活性のバランスを整えます。
・脾虚(ひきょ)タイプには、
足三里(あしさんり)、中脘(ちゅうかん)、脾兪(ひゆ)などで消化吸収力を高め、エネルギーを補います。
・腎虚(じんきょ)タイプには、
太渓(たいけい)、腎兪(じんゆ)などを用いて体の芯からエネルギーを養います。
加えて、肩や首の緊張をゆるめることで脳への血流を促し、目や頭の重さも軽減されやすくなります。
鍼灸は薬を使わず、眠気・だるさ・頭のぼんやり感を優しく整えてくれる、まさに“自分の回復力を引き出すケア”です。
まとめ:眠気の奥にある不調を見逃さないで
「眠い」という感覚は、体が“何かおかしい”と教えてくれているサイン。
その原因は、睡眠時間の問題だけでなく、体質・生活習慣・ストレス・自律神経の乱れなど、複数の要因が複雑に絡んでいます。
「いつも眠い」「頭がぼんやりする」そんな日常に慣れてしまっている方こそ、一度鍼灸で体を整えてみてはいかがでしょうか?
東洋医学の視点で、あなたの眠気の原因を見つけ、深い回復へ導いてくれます。