視力回復の鍼灸治療
人間には視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の感覚があり、その5つの感覚の中でも外部からの情報の80%を視覚から得ていると言われています。
視力は、空間の物体の存在や形状を脳に伝え認知する能力で、水晶体というレンズの厚みを調節し焦点を合わせる事で物を見ています。
日本人の平均視力は1.0と言われており、一般的に0.3未満になるとメガネやコンタクトレンズなどで矯正が必要になります。
視力低下の原因
近視、遠視、乱視、老眼といった屈折異常や、眼の様々な病気によって視力低下が起こります。
近視
近視とは近くはピントを合わせて見ることはできるが、遠くのものを見ようとするとピントが合わず、ぼやけてしまいはっきり見ずらくなる状態のことを言います。
眼に入ってきた光を水晶体に通し網膜で焦点を結び視神経を通して脳に情報が送り込まれますが、近視は眼軸長、角膜や水晶体の屈折力のバランスが崩れ、焦点を網膜の手前で結んでしまいうまく情報を伝える事ができなくなってしまいます。
近視は、水晶体の厚さを調節している毛様体筋の筋緊張か、眼軸が前後に伸びていることが原因になります。
遠視
遠視とは近くを見るぼやけてしまう状態で、近視とは逆で目から入ってきた光が網膜の後ろに焦点を結んでしまい正しい情報を伝えることができなくなっています。
ピント調節を一切せず、眼をリラックスした状態ではっきり見えるものは無くなりますので、近くを見る時も遠くを見るときも常にピント調節が必要となってくるため、眼の負担が大きく眼精疲労の大きな原因にもなります。
遠視の原因はまだはっきり解明されていなく、遺伝的要素が大きいと言われています。
人は生まれてから20代前半まで体の成長とともに眼球も成長し大きくなります。
しかし、人によっては眼球が十分に成長しないまま大人になってしまうこともあり、眼球が小さいことで入ってきた光の焦点が網膜のうしろで結んでしまい遠視になってしまいます。
乱視
乱視は軽度では視力にほとんど影響がありませんが、強度になると物が歪んでにじんで見えたり、眩しく感じる、ライトが見えにくいといった症状が出ます。また、片眼で見ると物が二重に見える単眼複視になることもあります。
乱視はレンズの役割を持つ角膜や水晶体の形が歪んでしまい、ピントの焦点が合わなくなる屈折異常の一つです。乱視は「正乱視」と「不正乱視」があり、正乱視は、本来の自然なカーブを保っていなければならない角膜が横方向や縦方向に対照的に歪んでしまい、光の屈折力が横と縦で異なるため焦点が合わなくなる状態で、生まれつきや加齢によって起こります。
不正乱視は、円錐角膜といった角膜の中央部が薄くなり、角膜が前方に円錐状に突出してしまう病気や、角膜移植などの手術後に角膜の表面に歪みが生じたり、デコボコに不整なってしまう事で起こります。
老眼
老眼は加齢により水晶体が硬化し、屈折力の低下により近くの物を見るとピントが合わなくなりぼやけて見えてしまう状態です。特に今まで見えていた小さな字が見えずらくなるため新聞を読んだり読書が困難になったといったなど、日常生活に大きな影響を与えるものになります。
近年では、スマートフォンの普及により水晶体を厚さを調節している毛様体筋が緊張し屈折力低下を起こす「スマホ老眼」も増加しています。
上記以外にも、「白内障」、「緑内障」、「中心性漿液性脈絡網膜症」、「ぶどう膜炎」、「加齢黄斑変性」、「シェーグレン症候群」、「糖尿病」などが挙げられます。
視力低下で、眼精疲労や肩こり、頭痛、または自律神経症状を発症する場合もあります。
視力低下に対する高田馬場はりきゅう院の施術
当院では眼の周囲の経穴に鍼で刺激し、そこに微弱の電気を流して血流を促進させる施術を行っていきます。
状態によってはお灸も行っていきます。
また首肩の筋緊張の緩和、視力が低下することで自律神経の乱れが見られる場合もあるため、自律神経調節を目的とした施術も行っていきます。
自律神経の調節を行うことで身体の状態も整い、視力の回復にもつながります。
視力低下の東洋医学的観点
眼は東洋医学では「肝」や「腎」と大きく関係していると考えられています。
東洋医学による肝と腎は西洋医学のものと考え方が違っているのですが、肝や腎が弱ると眼に何かしらの支障が現れると言われており、鍼灸の施術でも肝と腎の強化は視力向上に欠かせないものとなっております。
東洋医学での視力低下のタイプは大きく分けて二種類あります。
肝血虚
目は肝血を栄養としており、肝血虚になると目に栄養が行かなくなり視力低下を起こします。
肝腎陰虚
近視や老眼、遠視の人や、もともと身体が弱い人が目を酷使しすぎた事で気血を消耗し、肝腎の精血が不足しているため目が栄養不足になり、視力低下を起こします。
視力低下の悪化を防ぐ生活習慣
目を酷使することが多い世の中で、視力低下を悪化させないために日常から注意をして過ごすことも大切です。日常生活でしっかりセルフケアをしていきましょう。
①目を温めて血流を促進しましょう。
眼を温めることで血流が促進し、レンズの厚さを調節している毛様体筋の緊張が緩みピントを合わせやすくなります。眼を酷使した後や就寝前に蒸しタオルや市販されているホットアイマスクで眼を温めましょう。
②眼を休めましょう
パソコンやスマートフォンなど近い所を見て眼を酷使すると、毛様体筋が硬直してしまいます。近い所を見続けるということは、筋肉を常に緊張させていることになります。
1時間に1回は10分程度の休憩をはさみ、眼を休めましょう。この時まばたきを意識することがポイントです。まばたきをすると眼の周囲の筋肉がストレッチされるので、ドライアイ予防にもなります。
③眼の周囲のツボを押しましょう
眼の周囲には、眼に効くツボが存在しています。特に眉頭にある「攅竹」、眉頭と眉尻の中央で眉毛の上にある「魚腰」、眼の外側にある「太陽」、眼の下にある「四白」、ここを優しく指で押していきましょう。