■ 顔のむくみの原因は何?
むくみは、体内の水分代謝がうまくいかず、余分な水分(=湿:しつ)が皮膚や皮下組織に溜まることで生じます。
【一般的な要因】
・塩分・アルコールの摂りすぎ
・寝不足や夜ふかし
・運動不足や血行不良
・ホルモンバランスの乱れ(生理前や更年期など)
・加齢によるリンパや筋肉の衰え
【東洋医学的な要因】
東洋医学では、以下のような体内のバランスの乱れがむくみの根本原因とされています。
・脾(ひ)の弱り:消化吸収の役割を持つ「脾」が弱ると、体に湿が溜まりやすくなる
・腎(じん)の虚(きょ):水分の排出がうまくいかず、顔や手足にむくみが生じる
・気虚(ききょ):全身のエネルギーが不足し、体液の巡りも滞る
・血虚(けっきょ)や瘀血(おけつ):血流が悪くなり、顔の循環が停滞する
・肝気うつ(かんきうつ):ストレスによる気の巡りの停滞
むくみは単なる「水分の余分」ではなく、五臓六腑や気血水の乱れとして理解されます。
■ 鍼灸でむくみをどう整える?
鍼灸では、症状だけでなく「むくみやすい体質」「巡りの悪さ」の根本原因を見極め、東洋医学的な視点から全身のバランスを整える施術を行います。
主な鍼灸のアプローチ
・脾と腎を補う施術
→ 水分代謝をコントロールする臓腑を元気にすることで、むくみにくい体に。
・気血の流れを整える
→ 自律神経を整え、ストレスや冷えからくる滞りを解消。
・顔面部の局所施術
→ 顔のツボを刺激してリンパや血液の流れを改善。むくみが取れると、フェイスラインが引き締まり、小顔効果も期待できます。
・お灸による温熱刺激
→ 冷えによる水分代謝の低下を防ぎ、身体の巡りを促進。
■ よく使われるツボ
・陽白(ようはく)・四白(しはく):目の下や頬のむくみに効果的
・地倉(ちそう)・頬車(きょうしゃ):フェイスラインの引き締めに
・合谷(ごうこく):顔のむくみ、頭痛やストレス緩和にも
・足三里(あしさんり)・三陰交(さんいんこう):消化機能と水分代謝をサポート
・水分(すいぶん)・関元(かんげん):お腹の冷えや水分代謝改善に
顔のむくみをとるために、顔だけに鍼を打つわけではないのが鍼灸の特徴です。内臓機能やホルモン、自律神経の調整も含めて全身を整えていきます。
■ どれくらいで効果が出るの?
1回の施術でも「顔が軽くなった」「目元がすっきりした」という実感は得られやすいですが、体質そのものの改善には継続が大切です。
● 初期:週1回 × 4回
→ 顔のむくみが取れやすくなり、フェイスラインが明確に
● 中期:月2回程度
→ むくみにくい体質への移行。体全体の巡りも改善
● 長期:メンテナンス(月1回)
→ 自律神経やホルモンの安定を図り、リバウンドしにくい体へ
とくにPMSや更年期が関与している場合は、ホルモンバランスが整ってくると自然と顔のむくみも軽減します。
■ ご自宅でできるセルフケア
・白湯を飲んで体を温める
・足首を冷やさない(むくみ予防の基本)
・リンパマッサージを優しく(過度な力は逆効果)
・ストレスをためない(肝の気の巡りを保つ)
また、夜ふかしや塩分の摂りすぎは大敵。むくみ体質の方は特に意識を。
■ まとめ
顔のむくみは、体からの小さなSOSサインかもしれません。鍼灸では、一時的な解消ではなく、巡りのよい体をつくることで、むくみにくい状態を保つことができます。
朝の鏡を見るのが楽しみになる毎日をめざして、鍼灸での体質改善を取り入れてみませんか?