原因は「神経の圧迫」や「生活習慣」
腓骨神経は、膝の外側にある腓骨頭という骨の近くを浅く通っており、外部からの圧迫を受けやすい部位です。そのため、以下のような原因で神経が圧迫され、機能が低下することがあります。
・長時間の正座、足組み、しゃがみ姿勢
・ギプス固定や外傷後の神経損傷
・手術による神経への影響
・急激な体重減少による脂肪の減少(神経の保護が減る)
・糖尿病やアルコールによる末梢神経障害
・長期のベッド生活や寝たきり
これらにより、腓骨神経の働きが鈍くなると、以下のような症状が現れます。
・足首が上がらず引きずる(下垂足)
・足の甲や外くるぶしのしびれ・感覚異常
・靴をひっかけやすい
・筋肉の衰えや動きづらさ
神経は傷つくと自然に回復するまでに時間がかかります。放置していると筋肉の萎縮や関節のこわばりが進み、治療も難しくなるため、早めの対応が求められます。
東洋医学では「気血の滞り」としてとらえる
東洋医学では、このような神経麻痺の状態を「気血(きけつ)」の流れの滞りや、経絡(けいらく)の不通(流れが悪い状態)と考えます。
腓骨神経の経路は、東洋医学でいう「足の陽明胃経」や「足の少陽胆経」などの経絡に重なっています。これらの経絡の流れが滞ると、しびれや運動障害、冷え、むくみなどの症状が現れるとされ、経絡を整えることが治療の一つの柱となります。
また、腎虚(じんきょ)や脾虚(ひきょ)といった「体質的な弱さ」が背景にある場合もあります。東洋医学ではこうした体質にもアプローチすることで、再発予防や体力の底上げにつなげていきます。
鍼灸による施術アプローチ
鍼灸治療では、神経の走行や経絡上のツボを選び、筋肉や神経の機能を回復させる刺激を与えていきます。痛みやしびれ、動かしにくさといった症状に応じて、使用するツボや刺激の深さ・時間も調整していきます。
【よく使われるツボ】
・陽陵泉(ようりょうせん):膝外側にあり、神経痛や運動障害に用いられる代表的なツボ
・足三里(あしさんり):下肢の気血を巡らせ、体全体の回復力を高める
・懸鐘(けんしょう):足の筋力低下、しびれの緩和に
・風市(ふうし):足の運動や感覚異常に有効
・三陰交(さんいんこう):全身調整や冷えの改善に役立つ
電気鍼(パルス)を使って神経や筋肉に電気刺激を与えることで、麻痺部位の再活性化を図る場合もあります。お灸による温熱療法も、血流改善や冷えに有効です。
改善までの期間と通院頻度
腓骨神経麻痺は、神経の回復が必要な症状ですので、数回での劇的な変化を期待するのは難しいこともあります。しかし、早期の対応と継続的な施術で、多くの方が改善へ向かっています。
通院頻度の目安としては:
発症初期(1ヶ月以内):週2回程度の集中治療
回復期(2〜3ヶ月目):週1回〜隔週
慢性期(3ヶ月以上):月2回の体質改善+維持ケア
自宅でのストレッチや姿勢の見直しも組み合わせていくと、より高い効果が期待できます。
当院の鍼灸治療の特長
当院では、丁寧なカウンセリングと東洋医学的な体質チェックをもとに、一人ひとりに合わせた鍼灸施術を行っております。女性鍼灸師が担当し、リラックスできる個室空間で施術を受けていただけます。
腓骨神経麻痺のような神経障害では、心身のバランスを整えることも回復の鍵です。当院では神経だけでなく、自律神経や冷え、体の内側からの回復力にも目を向け、総合的にサポートしていきます。
「足がしびれる」「歩くとつまづきやすい」「疲れが抜けにくい」など、気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。